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刊行に寄せて
私の教員時代の古い教え子、中山栄造さんが今度「漢詩講座」という本を出した。
私も教職を去ってから十年余りになるが、先日私の古い教え子中山君が尋ねてきて、その著書に目を通してくれないかと依頼された。
私は職を去ってからは、もっぱら俳句の仕事のみに没頭してきたので、それ以外の事はとても役立つとは思えなかったが、古い教え子の著述に何かして上げられたらと筆を執る気になった。
私も高校教員時代には、国語の外に漢文を教えた事もあり、漢詩の講義をした事もある。
この影響が中山君のこの著述に関係があるとは思えないが、一つの縁のつながりは無い事もない。
又私も学生時代に漢詩を二三篇作った事もあり。「詩韵含英」と言う、平仄の本と首っ引きで悪戦苦闘した記憶がある。
漢詩には面倒な平仄と言うものがあって、自由に言葉を表現する事は許されないものだという事もこの時知った。
そんな事で作詩に関しては諦めたが、漢詩は好きなので、唐詩などは今でも好んで読んでいる。
私は今俳句だけの生活をしているが、俳句も十七音という言う極限の詩型の中で、類想類型を脱したものを作ろうとすると、中々難しい。
漢詩を作られる人も恐らく同じような苦労をするに違いない。
中山君のこの著作は、作る人の気持ちになっての懇切丁寧なものの様だから、ここに推薦する次第であります。
平成元年六月十五日
能村登四カ
俳人協会名誉会員
読売俳壇選者
曄歌坤歌偲歌瀛歌三連五七律自由漢詩笠翁対韻羊角対漢歌漢俳填詞詩余元曲散曲楹聯はこの講座に記載がありま