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 對聯は又の名を楹聯、或いは字對とも謂う。此は一種の格律性、芸術性、趣味性の強い文学形式である。中国古典詩詞と異曲同工の妙がある。 一説に依れば唐の五代を経て平仄四聲、虚実、完善修辞が整い、今日の對聯が深く人民に受け入れられるようになった。

 一般に謂われ、屡々見受けられる對聯の外に、一つの文学形式としての對聯がある。清代李魚著《笠翁對韵》が有る。これは定型が有り、題中には十八聯八韵で構成され、押韻は厳密ではないが互いに相近い韵ならば許容される。
 笠翁對韵に付いては第40項で説明しよう。

 中國に行くと、街のあちこち、看板から寺社の門前、旧宅の玄関前、或いは個人の住居に到るまで、生活のあらゆるところに、整った形式の文字が書かれているのを眼にすることが出来る。この文字書きが所謂「楹聯」である。

 この楹聯は、漢詩詞と並んで文化的価値の高い句の形態である。然し楹聯は「詩詞」の範疇には入らないが、中華詩壇の詩集には屡々、楹聯作品が掲載されているので、その創作法を紹介する。

 漢民族社会では、楹聯は余りにも一般的で、且つ日常的な文化なので、殊にテキストなどは不必要な状況であろう。 テキストが見あたらないので、中国の詩友に教わったことを基にして、日本人でも大過なく対応できる方途を探り、此処で講ずる事とした。これは文化一般に言えることだが、書かれていることはが総てで無いことは予め断っておく。

1−
 楹聯の楹とは、丸く太い柱を謂い、楹聯とは門の兩柱に掛ける柱掛け、聯句を書いた柱掛けを謂う。二本の柱に掛けるので、二句が一組となる。一般にはこれを「聯」と謂う。

2−
 出入り口の柱と柱の間に、文字を書いた額が掛かっていることがある。この額に書かれた文字も、聯と密接な関係を持った作品の一部である。これを「横批」と謂う。
 作品としての「聯」は、現実に柱掛けに用いるばかりではなく、紙面に書かれて壁に貼られたり、詩詞壇の機関誌に作品として掲載されたりもする。本稿は、機関誌に掲載される作品を創ることを前提に講を進める。

3−
 聯に書かれた句は、教訓的な内容や賛辞が多く、二句一聯で趣旨を完結させている。

4−
 聯は庶民に深く浸透した文化で、詩詞の云々を知らぬ一般庶民が読むことをも前提にしなければ成らない。依って、四声平仄は現時点で通用することを基本とする。古典の佩文詩韵を用いることは適切ではない。

5−
 二句は必ず對仗で無ければならない。

6−
 作品として、提示する場合の題の付け方は「春聯」とか「婚聯」などと、内容にあった名称とする。

7−
 聯は概ね縦書きで、通常は出だしの句を右側に、続きの句を左側に掛ける事となる。右側の句を上聯と謂い、左側の句を下聯と言う。そして横書きにする場合、上聯を左側にして、句の境を「;」で区切り、下聯を右側に書く。投稿の場合も、;で区切って書く。

8−
 四字の場合は ●○○●;○●●○。
    或いは ○○●●;●●○○。とする。
 上聯の末字は必ず「仄」字とする。
 下聯の末字は必ず「平」字とする。
 下聯は必ず對句とする。

9−
 五字の場合は ▲●△○●;△○▲●○。
    或いは △○○●●;▲●●○○。
 上聯末字は必ず「仄」字とする。
 下聯末字は必ず「平」字とする。
 句の構成は「二字+三字」とする。
 下聯は必ず對句とする。

10−
 六字の場合は
 ※※※※※●;※※※※※○。
 上聯末字は必ず「仄」字とする。
 下聯末字は必ず「平」字とする。
 ※印のところは、平仄を問はないが、平三連と仄三連は不可とする。
 下聯は必ず對句とする。

11−
 七字の場合は ▲●△○○●●;△○▲●●○○。
    或いは △○▲●△○●;▲●△○▲●○。
 上聯末字は必ず「仄」字とする。
 下聯末字は必ず「平」字とする。
 句の構成は「四字+三字」とする。
 下聯は必ず對句とする。

12−
 二句で構成される七字の場合として、概ね「三字+四字」の組み合わせが屡々見受けられる。この場合は、上聯の三字目の文字を平字とし、この字の韵(母音)を下聯末字の母音と同じにする。そして「,」「;」「。」の記号を用いる。

 ここに一例を示すが、別段定まった形式は無いようなので、適宜考案すればよい。但し、楹聯は見た目と読みやすさを重要視するので、平仄の配列は、詩の基本を逸脱しては成らない。

●○☆,○○●●;○●●,●●○☆。
 上聯末字は必ず「仄」字とする。
 下聯末字は必ず「平」字とする。
 下聯は必ず對句とする。

※※※,※※※●;※※☆,※※※☆。
 希に、下聯に二カ所押韵してある作品もあります。

13−
 七文字以上の作品も屡々見受けられるが、概ね前項の基本を踏襲すれば対応できる。   

14−
 横批は概ね四文字で構成される作品が多く、上聯と下聯を繋ぐ、或いは要約などの内容が多い。平仄は詩詞の規約を援用すればよい。押韻について作品を調べてみたが、留意されているように見受けられる場合もあるが、そうでない場合もある。依って殊更に留意する必要はないと判断した。

 四字の場合の平仄は、概ね○○●●或いは、●●○○或いは、○●●○或いは、●○○●などが多い。

15−
 作品例

春聯
開門大吉人財旺;接福長春国運昌。
門對青山林献寶;戸臨緑水浪淘金。
春風舒柳眼;時雨潤花心。
大地春光好;農村気象新。

横批
四化新春
風調雨順
國泰民安

洞房聯
洞外桃花灼灼;房内淑女舞翩翩。
洞天福地春光好;房暖濃恩愛長。

再婚聯
月缺月圓圓古月;人離人合合新人。
琴断一弦籬舊綫;簫吹二度奏新歌。

横批
破鏡重圓
鵲橋二渡

嫁女聯
月白風清,今夜相思無雨;天寒地凍,明朝必定結霜。
娶親奏楽,無非使客人高興;嫁女陪奩,総是爲門婿發財。
愛恋人生人恋愛;情聯友誼友聯情。
(どちらからでも読める(回文))

婚横批
百年好合
幸福家庭
双喜臨門

注:◎ 平聲仄聲を問わない押韵
注:☆ 平聲の韵
注:★ 仄聲の韵
注:● 仄聲
注:○ 平聲
注:△ 基本は平聲だが仄聲でも可
注:▲ 基本は仄聲だが平聲でも可
注: 領字
注:※ 句法に叶えば平聲仄聲を問わない

 

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