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歸字謡(十六字令)TopPage

 詞の中で二番目に小形な、文字数の少ない詞格律である。一番短い「竹枝」は日本詩壇で云う人は見受けないから、日本詩壇で云えば、一番小形な詞形と言える。

 詞譜は

 ☆。

▲●○○、●●☆。

○○●,

▲●●○☆。

単調十六字
四句三平韵


平字とは、第一声調と第二声調を云います。
仄字とは、第三声調と第四声調を云います。

 上記四っの声調のほかに、声調の伴わない「軽韵」と云う発音が有ります。

 古典の声調では、五番目に「入聲」と云う声調がありましたが、現在ではその殆どが、第一声調と第二声調に変化して仕舞いました。ただ一部の方言にその痕跡が認められると云う報告があります。

1−十六字令を一名「偸聲」(声を盗む)と云いい、下記のごとく、七言絶句定形から残す部分を赤色に染めてみると、概ね十六字令になる。

○○ ●● ●○
▲● ○○ ●●☆
●● ○○ ○●●
○○ ▲● ●○☆

残す部分を書き出すと

☆,
▲● ○○ ●●☆。
○●●,
▲● ●○☆。

 このことから見ても十六字令は、七言絶句から削ぎ落とせる字句を削ぎ取った結果出来た定形と言える。試みに唐詩三百詩を俎上に揚げてみよう。

○○●●●○▲●○○●●☆。●●○○○●●,○○▲●●○☆

2−第一句の一字は概ね作品の主題と成る字を用いる。

 

回郷偶書  賀知章
少小離家老大郷音無改鬢毛衰。児童相見不相識,笑問客従何処來

桃花渓   張旭
隠隠飛橋隔野石磯西畔問漁船。桃花尽日随流水,洞在清渓何処邉

九月九日憶山東兄弟  王維
獨在異郷為異毎逢佳節倍思親。遙知兄弟登高處,遍挿茱萸少一人

芙蓉楼送辛漸  王昌齢
寒雨連江夜入平明送客楚山孤。洛陽親友如相問,一片氷心在玉壺

涼州曲   王翰
葡萄美酒夜光欲飲琵琶馬上催。酔臥沙場君莫笑,古来征戦幾人回

検討:
 古来の名作を俎上に、其処から削ぎ取ろうというのだから、多分の無理はあるのだが、例示五作品の中幾つかは、作品として成り立つことが証明された。就中我々の作品が対象なら、殆どが十六字令として成り立つ。

  時,賀詞呈祥道踏之。詩會友,双樹自生枝。

  舟,無客朝朝起百憂。門巷寂,驟雨澤呑流。

  秋,語寄青春臉自羞。年久索,萬頃抑心愁。

  郵,一罐珍味萬里舟。心亦遙,難抑興已周。

  今,建住掘埋起鎚音。蔑万物,濁気只自侵。

注:◎ 平聲仄聲を問わない押韵
注:☆ 平聲の韵
注:★ 仄聲の韵
注:● 仄聲
注:○ 平聲
注:△ 基本は平聲だが仄聲でも可
注:▲ 基本は仄聲だが平聲でも可
注:※ 句法に叶えば平聲仄聲を問わない

 

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