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借物写情TopPage

 ある物事を顕はそうとする時に、脇役を建てる事に依って、主題を顕在化させる手法である。

  蓑 徐克熊
明月臥苔階,  月光の中の蓑を詠う
新晴晒灘石。  日中に晒された蓑を詠う
寒塘風雪中,  ところが、寒中の塘に在って
一個漁翁白。  一人の漁翁が着ると、さまになる、と詠う

解:この作品の意とするところは、常に見栄せぬ物でも、その時が至れば、大きな働きをする!と詠じている。
注:この作品は、柳宗元の江雪を土台にして作られている。
    江雪 柳宗元
  千山鳥飛絶,萬径人蹤滅。孤舟箕笠翁,獨釣寒江雪。

 

  履 徐克熊
尋詩木葉響,  詩を創ろうと小径を行くと、木の葉は履き物に響き
沽酒落葉譲。  酒を取りに行くと落花は踏まれまいとして、避けて散る
昨夜故人來,  ところが、昨夜友人が尋ねてきた
足跡青苔上。  履き物の痕がはっきりと青苔の上に残っている

解:接近している物を詠むことは中々に難しい事であるが、脇役を建て盛り上げれば主題を顕在化させることが出来る。

 

  桂花 高橋藍川
迎風桂子落紛紛,  風が吹くと花は紛々と散り
一樹依階満苑薫。  庭じゅうが芳しくなる
金粟如来清浄體,  桂の金色と如来の神々しさを重ね合わせる
妙音宜在月中聞。  読経の聲を登場させる

解:高橋藍川氏は和歌山県有田郡金屋町成道寺住職なので、寺院の情景が詠み込まれている。
  桂花は黄金色の米粒ほどの花で、香気は甚だ強い。この花を際だたせるために、脇役を配置している。

解:身近な物は、あまりにも平凡に過ぎて際だたせることは中々に難しいが、盛り立てるための脇役を配置し、物を見ては情を拡散しその連想の中より詩句を収束する。

 

  箸 中山逍雀
朝朝暮暮好因縁,砕骨撕肉共苦辛。
雖有君折即我死,竹竹木木勝於銀。

 

 

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