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変体詩 TopPage

 この項目は、定型の項に掲載すべきで有るが、当初の提示では内容の理解には厳しいものがあるので、一通りの詩法を学んだ後での掲載とした。

 この形態は敢えて作詩の対象にすべき類ではない。許多の詩法を検討しても、窮した場合にのみ許される詩法である。

 唐以後の詩人の近体詩は殆ど近体詩の格律によって配置されたものである。但し、その詩の善し悪しはその内容で判断される。

 依って、近体詩を書くときに、詩の内容向上を図るために、格律の束縛を破って自由に書く人がいる。たとえば、粘綴を守らない、平仄に拘らない、もしくは、対句を使わない、などの場合がある。然し、句数と押韻においてはきちんと、格律を守っている。

 そうでなければ、近体ではなく古詩に成ってしまうからである。この様な格律に合わない漢詩作品は沢山見受けられる。この様な格律に合わない近体詩は、「変体詩」或いは「拗体詩」と言い、有名な詩人で言えば、李白も杜甫も数多くの変体詩を書いた。

 彼らの変体詩は、格律の基準から言えば規則違反になるが、然し芸術的なレベルが高いので、やはり良い作品であると評価されてきた。格律違反だからといって、この作品を否定しようとする人は殆どいない。

対象となる作品を提示するので、何処がどの様に変体なのか?はご自分で考察していただきたい!

  静夜思 李白
牀前明月光,疑是地上霜。
○○○●◎,○●●●◎。

挙頭望明月,低頭思故郷。
●○●○●,○○○●◎。

 

  徐州西澗 韋王物
獨憐幽草澗邊生,上有黄□深樹鳴。□;麗+鳥
●○○●●○◎,●●○□○●◎。

春潮帯雨晩來急,野渡無人舟自横。
○○●●●○●,●●○○○●◎。

 

  月夜 杜甫
今夜□州月,閨中只獨看。□;U911C
○●○○●,○○●●◎。

遙憐小児女,未解憶長安。
○○●○●,●●●○◎。

香霧雲鬢湿,清輝玉臂寒。
○●○○●,○○●●◎。

何時倚虚幌,双照泪痕干。
○○●○●,○●●○◎。

注;此の詩は頸聯だけが對仗に成っている。頷聯と首聯は對仗にしなかった。この様な形の格式を「蜂腰格」と言う。というのは、頷聯が作品の中位置に有るので、對仗でなかったら、蜂の細腰の様な形になるからである。

  黄鶴楼 崔
昔人已乗黄鶴去,此地空餘黄鶴楼。
●○●○○●●,●●○○○●◎。

黄鶴一去不復返,白雲千載空悠悠。
○●●●●●●,●○○●○○◎。

晴川歴歴漢陽樹,芳草萋萋鸚鵡州。
○○●●●○●,○●○○○●◎。

日暮郷関何處是,烟波江上使人愁。
●●○○○●●,○○○●●○◎。

注;此の資料は中国語版のテキストを参考にした。

 

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