wpeC.jpg (857 バイト) 漢詩詞語義現代韵表 中山逍雀漢詩詞填詞詩余楹聯創作講座こちらからもお探し下さい

現代漢語韻表topPage

  漢語は子音+母音+アクセントで構成されています。韻は母音に相当し陰平陽平はアクセントに相当し、第一声調が陰平で第二声調が陽平です。

 韵書というのは、文字母音毎に文字を分類した分類書です。細かに分けるか大まかに分けるかによって、何種類も出来るのは当然のことです。

 日本では佩文詩韵が大勢を占めていますが、已に過去の分類と成りつつあります。
 佩文詩韵は平仄合わせて106韵です。

 革命後に先ず編集された「詩韵新篇」が有ります。平韵18韵・仄韵18韵です。合わせて36韵です。

 次に、黒竜江省佳木斯市東風詩社の重陽先生が作詩詞への活用を提唱している中華新韵が有ります。平韵16韵・仄韵16韵です。合わせて32韵です。

 次に中華詩詞学会が発表した「中華新韵」が有ります。平韵14韵・仄韵14韵です。合わせて28韵です。

 古来から有る韵分類として「十三轍」が有ります。平韵13韵・仄韵13韵です。平仄合わせて26韵です。

参考
 古典韵は日本と架橋で使用されています。中国本土では殆ど使用されていません。依って中国本土へ投稿なさる場合は「古典韵使用」と但し書きを付ける必要があります。

 十三轍は中国本土で使用されています。

 黒竜江省佳木斯市東風詩社の重陽先生が作詩詞への活用を提唱している中華新韵は、上海戸籍出版社が出版している「詩韵新篇」と殆ど変わりがないので、そのまま使用されています。

 上海戸籍出版社が出版している「詩韵新篇」は中国全土で通常の韵書として、通用しています。
 上海戸籍出版社が出版している「詩韵新篇」の分類摘出しました。 此処では使用頻度の高い平声だけを書き出しました。上声去声(第3・4声)は仄声で、韻の名称は同じです。

 入声は、一麻・二波・三歌・四皆・五支・七齋・十姑・十一魚の8個の韵目だけにあって、他の韵目には聲調としての入聲の記述がありません。尚、一麻・二波・三歌・四皆・五支・七齋・十姑・十一魚の8個の韵目に記載された韵字は、各々に、1・2聲調(平)か、或いは3・4聲調(仄)かの何れかに分別されています。依って、入聲としての文字は存在しません。

一麻 
○陰平
巴、笆、叭、差、瓜、呱,哈,呵、花、家,佳、加、嘉、茄、痂、茄,架、葭、珈、跏、迦、袈、誇、拉、藍、媽,嘛 葩、沙、紗、砂、杉,莎,鯊、他、它、蛙、哇、蝦,鴉、椏、呀、唖,査,渣、抓

○陽平
嗄、茶、査、槎、苴、打,蝦,華,嘩,譁,拉,麻、蟆,嘛、拿、南,耙、爬、琶、杷、霞、瑕、遐、暇、斜、牙、芽、崖、涯、睚

二波【歌韻と通韻】
○陰平
波、播、玻、搓、磋、蹉、多、過、鍋、堝、豁、羅、呵、坡、梭、蓑、莎、婆、它、窩、萵、倭

○陽平
嵯、螺、羅、騾、鑼、邏、磨、模、摩、魔、謨、膜、無、那、娜、哦、婆、番、駝、鴕、沱、佗

三歌【波韻と通韻】
○陰平
車、的、阿、歌、哥、戈、呵、科、柯、軻、蝌、奢、遮

○陽平
鵡、蛾、娥、訛、峨、俄、哦、和、禾、河、荷、何、苛、蛇

四皆
○陰平
街、階、皆、偕、嗟、些、靴、掖

○陽平
茄、伽、斜、鞋、諧、邪、携、偕、鮭、耶、椰、揶、斜、邪

五支【児・斉韻と通韻】
○陰平
癡、嗤、笞、魑、雌、差、詩、師、施、獅、屍、思、私、糸、司、嘶、斯、偲、厩、知、枝、脂、厄、之、芝、支、肢、氏、姿、資、茲、滋、輜、髭、粢、咨、恣、孳、觜

○陽平
持、馳、池、遅、匙、踟、弛、詞、辞、慈、瓷、茨、祠、磁、茲、雌、時、塒、提、匙

六児【支・斉韻と通韻】
○陽平
児、而、?、?

七斉【支・児韻と通韻】
○陰平
低、堤、羝、提、鶏、基、機、飢、餞、肌、譏、覊、姫、幾、稽、畿、磯、簪、躋、奇、期、其、剞、居、哩、披、丕、紕、期、渓、妻、凄、栖、棲、欺、萋、崎、蹊、梯、西、稀、熈、希、曦、嬉、携、犀、唏、晞、熹、羲、兮、渓、栖、棲、醯、衣、依、医、伊、噫、猗

○陽平
離、籬、犁、黎、梨、璃、驪、狸、蠡、璃、迷、弥、泥、尼、霓、児、鮨、其、跂、枝、畦、麒、祈、祗、圻、俟、岐、淇、啼、題、蹄、提、鵜、醍、畦、宜、儀、疑、移、頤、夷、怡、貽、詒、彝、痍、蛇、施、沂、嶷

八微
○陰平
杯、盃、悲、卑、碑、背、鵯、吹、炊、催、衰、榱、堆、追、敦、飛、非、霏、扉、妃、菲、緋、規、帰、閏、圭、瑰、傀、亀、鮭、皈、黒、輝、暉、灰、揮、恢、徽、窺、勒、胚、壊、綏、尿、雖、推、威、危、微、隈、巍、委、萎、逶、追、錘、椎、騅

○陽平
垂、椎、槌、陸、錘、捶、肥、腓、回、蛔、魁、葵、揆、馗、奎、逵、雷、累、壘、眉、媒、梅、枚、嵋、没、苺、培、陪、賠、壊、裴、誰、随、隋、頬、為、帷、維、違、囲、幃、惟、薇、葦、巍、賊

九開
○陰平
哀、挨、挨、猜、叙、折、呆、待、該、垓、咳、開、楷、拍、思、塞、篩、哀、苔、歪、栽、災、哉、斎、摘

○陽平
挨、呆、癌、皚、白、才、材、裁、財、柴、儕、豺、骸、咳、懐、淮、槐、徊、踝、来、徠、埋、霾、排、牌、徘、俳、台、苔、抬、駘、擇、宅

十姑【魚韻と通韻】
○陰平
逋、初、粗、都、闍、夫、膚、敷、孵、麩、趺、柎、姑、孤、沽、鴣、吼、估、家、觚、蛄、乎、糊、刳、舗、書、殊、輸、舒、疏、妹、梳、蔬、抒、茶、蘇、甦、酥、烏、汚、鳴、悪、巫、誣、於、朱、珠、株、誅、猪、諸、銖、蛛、侏、茱、瀦、租、呼、汚、租

○陽平
除、芻、雛、鋤、廚、躇、蜍、徂、浮、扶、符、孚、俘、夫、抱、桴、鳬、芙、苻、蜉、罘、郛、糊、胡、湖、壷、狐、弧、蝴、瑚、醐、葫、芦、廬、爐、慮、鱸、顱、臚、轤、艫、瀘、模、奴、孥、驚、蒲、脯、菩、葡、苻、如、儒、茹、濡、孺、襦、洳、蠕、繻、図、徒、屠、塗、途、茶、蒐、無、吾、蕪、呉、梧、巫、誣、娯

十一魚【姑韻と通韻】
○陰平
居、車、駒、裾、且、疽、砠、倶、苴、沮、区、趨、嶇、駆、躯、蛆、須、鬚、需、吁、虚、嘘、墟、胥、嘔、繻、迂、淤、紆

○陽平
驢、閭、渠、衢、劬、徐、魚、漁、余、予、于、孟、竿、娯、愉、楡、渝、叟、萸、諛、腴、虞、愚、隅、歟、輿、兪、逾、揄、瑜、覦、嵎

十二候
○陰平
抽、紬、兜、溝、鈎、勾、枸、篝、糾、究、鳩、湫、啾、樛、溜、謳、甌、鴎、欧、殴、嘔、区、秋、鞦、丘、蚯、亀、邱、楸、収、捜、艘、溲、蒐、偸、修、脩、休、羞、貅、悠、攸、幽、優、憂、舟、周、週、州、洲、粥、鄒、陬

○陽平
籌、愁、酬、綢、仇、稠、讎、候、喉、猴、篌、流、留、榴、劉、瘤、琉、旒、楼、婁、窶、僂、螻、髏、謀、繆、眸、牟、牛、抔、求、泅、仇、酋、遒、逑、柔、揉、蹂、鞣、熟、頭、投、骰、尤、游、遊、油、由、猶、蕕、蝣、猷、蚰、囮、軸、舳

十三豪
○陰平
熬、凹、包、胞、苞、褒、標、彪、驃、杓、飆、操、超、抄、鈔、刀、叨、雕、凋、貂、高、膏、羔、皋、睾、嵩、嚆、交、焦、蕉、教、郊、嬌、驕、蚊、澆、椒、咬、礁、鶴、鵁、尻、撈、撩、猫、抛、泡、漂、飃、嫖、敲、雀、悄、磽、騒、掻、艘、焼、梢、稍、蛸、叨、掏、滔、韜、饕、涛、挑、佻、銷、削、宵、霄、簫、蕭、瀟、囂、哮、梟、硝、驍、蛸、逍、邀、腰、要、夭、妖、遭、糟、朝、招、抓、着、著、昭、嘲

○陽平
遨、熬、螯、嗷、鰲、鏖、敖、薄、雹、曹、槽、漕、朝、巣、潮、晃、豪、毫、号、壕、濠、貉、嚼、労、牢、癆、撈、醪、聊、蓼、繚、撩、寮、僚、燎、鷯、鐐、毛、茅、矛、旄、髭、錨、苗、描、鐃、撓、橈、呶、袍、庖、匏、炮、咆、瓢、嫖、朴、撲、橋、憔、樵、翹、喬、僑、饒、蕘、橈、蟯、韶、勺、芍、逃、桃、陶、涛、淘、萄、綯、調、条、條、蜩、迢、髫、齠、淆、揺、遥、謡、窰、瑶、肴、尭、姚、徭、僥、嶢、着、著

十四寒
○陰平
安、譜、鞍、庵、班、斑、般、搬、瘢、頒、辺、鞭、編、蝙、餐、参、驂、穿、川、単、丹、耽、眈、殫、湛、鄲、巓、癲、端、帆、番、翻、幡、反、干、乾、竿、肝、甘、杆、柑、疳、観、関、冠、官、棺、綸、鰥、酣、蚶、鼾、歓、謹、間、兼、尖、堅、肩、艱、煎、奸、緘、箋、監、濺、菅、戔、蒹、鵑、捐、涓、娟、悁、鐫、身、看、堪、勘、刊、龕、寛、拈、攀、潘、番、篇、偏、翩、扁、千、牽、遷、簽、籤、謙、鉛、阡、愆、慳、嵌、仟、搴、騫、僉、圏、悛、三、参、山、衫、作、刪、芟、杉、扇、跚、珊、苫、閂、栓、酸、貪、攤、灘、天、添、湍、蛮、湾、蜿、豌、先、仙、鮮、銛、宣、喧、軒、萱、喧、烟、煙、淹、咽、嫣、焉、殷、燕、奄、閹、閼、湮、鴛、鳶、淵、冤、宛、簪、占、瞻、沾、粘、旃、覘、譫、専、磚

○陽平
残、蚕、蟾、禅、蝉、纏、孱、嬋、廛、潺、纏、巉、単、船、伝、橡、凡、煩、繁、蕃、藩、燔、含、韓、函、涵、汗、邯、寒、還、環、鬟、寰、鐶、桓、蘭、欄、闌、瀾、嵐、藍、籃、襤、連、廉、蓮、憐、聯、簾、濂、巒、鸞、鑾、臠、欒、攣、蛮、漫、瞞、鰻、鬘、饅、謾、埋、留、棉、綿、眠、男、難、南、楠、哺、年、粘、鮎、盤、蟠、磐、蹣、胖、便、駢、銭、前、潜、乾、虔、鉗、黔、全、権、泉、拳、痊、顴、蜷、筌、銓、然、髯、燃、談、弾、壇、檀、潭、痰、曇、覃、譚、澹、田、甜、鈿、恬、団、摶、完、丸、頑、玩、賢、閑、嫌、弦、涎、銜、嫻、威、旋、懸、玄、言、延、顔、研、炎、厳、檐、沿、筵、研、塩、岩、巌、閻、蜒、芫、縁、援、園、源、円、元、員、原、轅、垣、衰、櫞

十五痕
○陰平
奔、賁、賓、浜、瀕、檳、彬、繽、参、嗔、春、椿、村、敦、頓、蹲、燉、惇、鐓、恩、分、芬、紛、氛、吩、根、跟、昏、婚、葷、金、今、斤、巾、筋、禁、津、襟、矜、衿、軍、均、君、鈎、昆、坤、鯤、褌、焜、悶、噴、親、侵、欽、駸、逡、森、身、深、伸、申、参、紳、呻、娠、神、孫、呑、暾、燉、温、瘟、心、新、欣、辛、薪、馨、芯、忻、薫、燻、醺、葷、陰、蔭、音、因、姻、股、菌、氤、湮、慇、咽、堙、暈、真、眞、珍、針、砧、斟、貞、偵、驕A禎、箴、臻、甄、振、蓁、諄、屯、尊、樽、遵、

○陽平
岑、辰、塵、晨、沈、陳、臣、橙、忱、唇、純、淳、醇、鶉、存、蹲、焚、汾、扮、墳賁、濆、枌、痕、魂、渾、隣、臨、林、麟、鱗、霖、燐、琳、淋、倫、論、輪、淪、綸、崙、門、們、捫、民、緡、岷、旻、盆、貧、頻、苹、嬪、勤、芹、秦、琴、禽、擒、衾、檎、覃、群、羣、裙、人、仁、任、壬、妊、神、甚、屯、飩、豚、腎、燉、敦、文、聞、蚊、紋、尋、旬、尋、洵、筍、徇、詢、循、巡、馴、恂、潯、吟、銀、垠、淫、聴、听、霪、齦、崟、寅、雲、繧、

十六唐
○陰平
邦、浜、傍、蒼、倉、艙、滄、昌、娼、猖、菖、窓、創、瘡、当、鐺、襠、方、芳、妨、坊、肪、枋、岡、綱、鋼、剛、扛、杠、肛、光、胱、洸、荒、慌、肓、江、疆、将、漿、姜、矼、康、糠、慷、筐、匡、滂、膀、腔、槍、蹌、鏘、姜、搶、桑、喪、商、裳、傷、殤、觴、湯、霜、孀、汪、郷、香、相、箱、湘、嚢、驤、秩、央、鴦、泱、殃、鞅、張、章、彰、璋、樟、荘、装、妝、

○陽平
昂、蔵、長、腸、常、償、嘗、裳、嫦、場、床、撞、幢、防、妨、房、行、航、杭、吭、頏、絎、黄、煌、凰、蝗、篁、徨、遑、鍠、鰉、湟、扛、狂、誑、郎、狼、廊、琅、浪、踉、量、梁、涼、跟、忙、盲、茫、鋩、茫、嚢、娘、傍、彷、磅、滂、膀、強、牆、墻、檣、薔、穣、攘、禳、堂、塘、糖、唐、棠、螳、溏、王、亡、忘、詳、祥、翔、降、庠、陽、揚、楊、羊、洋、佯、瘍

十七庚【東韻と通韻】
○陰平
崩、繃、兵、冰、開、檳、屏、称、瞠、鐺、槍、登、燈、丁、釘、叮、疔、風、豊、峰、蜂、封、楓、鋒、烽、瘋、耕、庚、更、羹、粳、亨、精、驚、京、経、睛、旌、晶、鯨、兢、荊、茎、菁、更、坑、鏗、吭、蒙、矇、烹、澎、怦、嫂、青、清、軽、卿、蜻、傾、僧、生、声、升、昇、勝、笙、甥、騰、聴、庁、汀、翁、星、興、腥、馨、醒、猩、惺、應、英、鴬、鷹、嚶、鸚、纓、櫻、膺、瓔、増、憎、曽、正、争、征、徴、箏、鉦、崢、蒸、錚、丁、諍、鯖、

○陽平
曽、層、成、城、誠、承、程、盛、乗、澄、橙、呈、丞、醍、逢、縫、馮、恒、横、衡、桁、峻、楞、薐、齢、零、霊、菱、綾、陵、凌、聆、令、鈴、櫺、蛉、羚、鴒、囹、萌、盟、蒙、濛、矇、檬、艨、虻、甍、名、明、銘、鳴、冥、螟、瞑、溟、能、檸、凝、寧、嚀、獰、朋、蓬、篷、棚、鵬、彰、膨、平、萍、屏、評、凭、憑、瓶、坪、苹、情、晴、檠、鯨、黥、仍、縄、藤、疼、騰、滕、廷、庭、亭、停、霆、蜒、渟、莚、行、形、刑、型、迎、盈、営、螢、縄、楹、塋、瀛、贏、瑩

十八東【庚韻と通韻】
○陰平
充、冲、衝、舂、憧、聡、匆、葱、従、樅、東、冬、工、功、公、攻、弓、恭、窮、宮、供、肱、蚣、紅、轟、哄、吽、空、倥、箜、穹、松、淞、菘、嵩、通、恫、兄、胸、凶、匈、擁、庸、壅、慵、傭、中、忠、終、衷、鐘、鍾、螽、宗、踪、蹤、縦、

○陽平
重、崇、虫、従、叢、浣、紅、虹、鴻、宏、洪、訌、泓、絋、黌、隆、龍、聾、篭、槞、瓏、窿、瀧、朧、農、濃、膿、窮、蛩、瓊、穹、跫、栄、容、戎、絨、蓉、融、溶、榕、同、童、銅、桐、瞳、僮、潼、艟、筒、洞、橦、雄、熊、庸

 この資料は上海古籍出版社の《詩韻新篇》より、平韻の文字の中使用頻度の高いものだけを抜き出しました。漢語簡体字を日本漢字に置き換えましたが、簡体字に不慣れな上に、文字が日本漢字と同じ形ものが多々あって、鋭意注意を注ぎましたが、多少の間違いは有ろうと思います。発見次第修正してください。たとえば 云→雲 芸→噤@沈→瀋 叶→葉 什→甚 のような文字は間違え易いです。
  1999年4月5日 
           編集 中山栄造                 使用漢字辞書 ATOK12 

 

10-03/01
中華新韵 中文主旨抜粋   日本 千葉県 中山逍雀

 漢詩詞に於ける「詩韵」について、日本では一般に平水韻が云われているが、現在の中国詩詞壇に於いては、若者の間に既に普通話が普及して居るので、平水韵は過去の文化と成りつつある。ではどういう制定韵が有るかと云えば、古典韵の「平水韵」があり、次に上海古籍出版社が出版する「現代韵」が有る。亦次に黒竜江省佳木斯市東風詩社の重陽先生が作詩詞への活用を提唱している中華新韵がある。詩韵の数から云うと、平韵だけの分類でも、平水韵が30韵(106韵)で、現代韵が大分減って18韵(36韵)と成り、中華新韵は16韵(32韵)である。

 これら制定韵の成り立ちに付いて簡単に述べると、平水韵は齋の王融、謝眺などが初めて文章に四声のリズムを用いる様になったと言われているが、聲律音韵が学問的に確立したのは、随の陸法言の「切韵」と言う書物が始まりと言われている。現在漢和辞典に掲載されている大方の韵は「平水韵」で有って、此は西暦1252年湖北平水の人、劉淵が編纂したと言われる韵書を拠り所にしている。

 中華人民共和国建国後の1941年に、中国政府が北京語を基にした現代漢語の?音案「中華新韵」を公布した。その事によって、総ての漢字の正確な発音が分かるようになり、この事は、新しい韵書の編纂に科学的根拠を提供した。1965年に政府の下で、中華書局の上海編集局が特別組織を結成して、漢語?音案が規定した「中華新韵」の母音を基準に、詩詞作品への活用を考慮した音韵の編集が為され、「詩韵新編」を出版した。此を一般に現代韵と言う。

 さて黒竜江省佳木斯市東風詩社の重陽先生が作詩詞への活用を提唱している中華新韵の特徴は、前述の通り現在の中国語(普通話)の母音と一致している事である。これにより日本人にはとても対応し易いという現実がある。日本人が詩韵に馴染めない理由の一つに、中国語辞書の発音と韻表の発音分類とが必ずしも一致していない事にあるが、辞書の発音と韻分類が同一なら、既に韻表は不要となる。外国人である日本人でも、多少中国語を嗜んだ人なら、中国語辞書だけで十分に対応できる。

 ただ此処に、日本人には分かり難い問題がある。上海戸籍出版社の詩韵新編と比べてみると、同一韵の範疇が必ずしも同一母音で無いという事である。視点を変えると、中華新韵は、分類を無機的に行っているが、詩韵新編は詩詞を考慮して有機的に行っていると言う事である。

 中国語辞書をお持ちの方には既に不要なことであるが、取り敢えず韻分類を示しておこう。表示に不都合があるが、ピンインがWebに対応できないので、その点をご理解を戴きたい。

 

 

参考
黒竜江省佳木斯市東風詩社の重陽先生が作詩詞への活用を提唱している中華新韵

韵の分類と呼称

01-依i 02-讀u 03-律u 04-大a 05-活o 06-寫e 07-詩hi 08-改ai 09-對ui 10-好ao 11-粘an 12-新in 13-偶ou 14-放ang 15-声eng 16-総ong

新韵歌(含16韵)
07詩 01依 03律 02讀 12新 15声 06寫 10好
14放 05活 16総 09對 04大 08改 11粘 13偶

註:この韵表と韵名称が、中国政府が発表した「中華新韵」その物であるのか、或いは重陽先生のオリジナルで有るのかは、定かでは有りません。

註:現代韻(上海出版)には「儿 er」の韻があるが、平仄合わせても該当文字が13個しかないので、中華新韵では、他の韻に併合されている。


《佩文詩韵》應該休息了

 日本では多くの漢詩創作者が《佩文詩韵》を用いているが、中國では既に現代韻へと移行しつつあり、《佩文詩韵》は過去の文化と成りつつある。この事について書かれた小論が、1995年8月19日《中國楹聯報》に掲載されていたので紹介しよう。

 今年は2003年である。この記事は8年前のものである。中華人民共和国政府は、総ての学校で官話教育を行っているので、2003年迄の八年間では、相当数の新規学生が官話の教育を受けたはずである。依って現在では、此処に示された官話の使用人数は、75%より増えているはずである。その分他の方言が減っているはずである。

《佩文詩韵》應該休息了

 現在、我が国の詩詞楹聯界では、《佩文詩韵》の四声平仄を主張する者と、現代漢語の四声平仄を主張する者とが居る。

 我が国の国土は広く人口も多い。様々な歴史に依る漢語方言の方言区は以下の如くである。

1−北方方言(官話区)
 東北三省・河北省・河南省・山東省・山西省・陜西省・甘粛省・安徽省・四川省・江西省・湖北省・雲南省・貴州省、などと、廣西北部・江蘇北部・南京・鎮江、などの地域で、使用人口は漢族総人口の75%以上である。そして北京話を代表とする。

2−呉wu2方言
 浙江省と江蘇省南部で、使用人口は漢族総人口の9%である。上海話をその代表とする。

3−?min3方言(○=門+虫)
 福建省・台湾省・海南省・広東省の潮州・汕頭地区で、使用人口は漢族総人口の4%である。福州話と夏門話をその代表とする。

4−粤yue4方言
 広東の大部分・廣西南部で、使用人口は漢族総人口の5%である。廣州話を代表とする。

5−客家方言
 廣東東部・南部・福建西部・江西南部・廣西東南部で、使用人口は漢族総人口の4%である。廣東梅州話代表とする。

6−
 北方の方言の中には、未だ少しの方言区がある。晋方言・鄂方言・湘方言・?min3方言(○=門+虫)などである。

7−
 外国の幾千万の華僑は粤方言・?方言・客家方言とをそれぞれに使っている。

 時代は、随から唐清に至り、幾人もの言語学者が所説を立て、朝廷は政令を発布して、漢語を統一することに貢献した。

 孫中山先生が民國を誕生させた後、著名な言語学者“趙元任先生”が創造した注音字母は1913年(民國2年)に讀音の統一を為した。北洋政府教育部が1918年に正式に公布し民国政府は1930年に正式名称を“注音符號”とし、全国学校《国文》教科書の漢字全部に注音符号を付けた。

 人民共和国成立後、積極的に現代漢語(簡称“普通話”)の漢字讀音統一を以下の如く加速させた。《人民日報》1955年12月26日《爲促漢字改革、推廣普通話、実現漢字規範化而努力》の社論を発表した。国務院は1956年2月6日全国各地に向けて、《関于推廣普通話的指示》を表明した。そして明確な指示として:普通話とは、北京音を標準音と為し、北京話を基礎方言と為す。以て現代白話文の著作は普通話を規範とすること。

 また別の《指示》として、漢語は我が国の主要の言語、又世界で使用人数最多の言語で、且つ又、世界で最も発展した言語の一つである。然し、歴史的な過程によって、漢語の発展は未だ完全に統一はされていない。許多の方言が妨害となり、不同の地区の人達の交流談話、社会主義建設事業中の許多の不便がある。言語中の些かの不統一の現象は、会話の中にあり、又書面上にも存在する。そして、書面語言や、出版物に至まで、語法上の混乱は、重大である。我が国の政治、経済、文化と国防の進歩発展の利益を為す爲には、必ずこの現象を取り除くことをしなければならない。文化教育関係と、人民生活の各方面にこの普通話を推し廣めることは、漢語の完全統一促進の主要な方法である。

 1958年2月11日第一回全国人第五次会議では、北京語音を標準音と為す事とされた。《漢語?音方案》(以拉丁字母代替注音符号)。

 この様な努力の結果、現在では現代漢語が通用する中華大陸は、空前の普及と空前の統一に到達した。そして現代漢語は既に、学校教育、新聞、書籍、雑誌、テレビ、ラジオ、公文書の往来など、みな現代漢語を用いている。更に外国の許多の学校も、又現代漢語を教育している。依って、普通話は我が国各族人民の共同の言語(台湾称国語)と成った。

 第28回国聯大会会議は1973年12月18日に行われ、我が国現代漢語は、英語・フランス語・ロシア語・スペイン語と並んで、國聯大会と、安全保証理事会の公式語文の一つと成った。そして、世界の許多の国家で現代漢語は廣汎に用いられている。

 《佩文詩韵》は清朝《佩文韵府》の簡編本で、これは清朝官吏登用試験のテスト用の韵書である。これ以前随編《切韵》では、四部に分けられ、各々平、上、去、入とされ、共に206部である。《切韵》は唐代に改名されて《集韵》として刊行され、約206部と成った。その後、金代の王文郁が西暦1229年に編纂した《新刊平水禮部韵略》がある。これは、206部を再編して106部と為した。南宋平水の人、劉淵が1252年編輯した、《壬子新刊禮部韵略》は107部である。世人は将に“王・劉”二人が編纂した韵書を簡称“平水韻”とした。《佩文詩韵》は《壬子新刊禮部韵略》を沿用して106韵とした。

 漢語書面語発展を四時期に分けると、先ず西暦303年迄が第一期として古漢語。304-1263年が第二期として、中古漢語。1264-1918年が第三期、近古漢語(也称近代漢語)。1919-年から第四期、現代漢語である。漢語は二千有余年の四時期を経て大発展を遂げ、古漢語の四声(平、上、去、入)、は既に現代漢語の四声(陰平、陽平、上聲、去聲)と成った。現在では古語の入聲字は既に消失した(些かの文字は、現代漢語の陰平、陽平、上聲、去聲に并入された)。

 《佩文詩韵》は平水韵の再版である。そして平水韻は随、唐の韵書編を根拠としているから、実際のところ《佩文詩韵》は、中古漢語である。だから、現代漢語と《佩文詩韵》を比べて読むと、二つの相違点が現れる。

 1−《佩文詩韵》中の許多の仄聲字は、既に現代漢語の平聲字に成っている。例えば以下の如し
攝・疾・橘・菊・局・識・棘・撃・即・急・級・輯・緝・集・吉・及・激・籍・藉・・・・以下省略します(譯者)。

2−《佩文詩韵》の中の幾つもの同韵とされる文字が、現代漢語では同韵ではない文字があります。例えば“四支”の中の、吹・皮 や“五微”の中の、機・“八齋”の中の、奎 “十三元”の中の、坤など枚挙に遑がありませんので、以下省略します(譯者)。

原載1995年8月19日《中國楹聯報》

 

参考
中華詩詞学会が提唱する「中華新韵」

韵の分類と呼称

1−麻 a,ia,ua

2−波 o,e,uo

3−皆 ie,(u+i)e

4−開 ai,uai

5−微 ei,ui,uei

6−豪 ao,iao

7−尤 ou,iu,iou

8−寒 an,ian,uan

9−文 en,in,ien,un,uen,(u+i)n,(u+i)en

10−唐 ang,iang,uang

11−庚 eng,ing,ieng,ong,ueng,iong,(u+i)eng

12−齋 i,er,(u+i)

13−支 (−i)零韵母

14−姑 u

 此に対応する文字は凡そ3500字の文字表があるが、何れ日を見て掲載しよう。

 

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