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戯れ言葉TpPage

 薩摩の守・・忠度と言う言葉は誰しも聞いたこともあるし、一度や二度は使ったことが有るだろう。

 言葉の文化、とでも言おうか。この頃は既製服の様な型に填った味気のない言葉ばかりになって、深みのある腹の底を擽るような言葉がすっかり忘れ去られ、言葉に厚みが無くなって仕舞った。身の回りにある庶民の大切な文化が軽んじられた結果だろう。

 厠の火事、屋根屋の褌、蛍のけつ、見るは豊楽銭要らず、気楽な仕舞た屋暮らし、などの言葉を知っているだろうか?用いているだろうか?そう言うと恐らく「品位に欠けた言葉云々」の返事が返ってくると思う。

 其れは、喋り手も聞き手も共に言葉の文化に疎いから出る返事で、適切に用いれば一言にして親近感を与えることもあるし、趣旨に深みを添えることもあるし、その場を和らげる事も出来るのである。

 私は長い間、多くの中国文化人と手紙のやりとりをしている。彼らは農民から官吏、学生から教授まで、実に多くの言葉を知っていて、相互疎通の潤滑油として実に巧みに使っている。

 「厠の火事」が翻訳しにくいのと同じに、中国語の戯れ言葉「歇後語」も文字面では翻訳しにくい一面を持つ。前置きはこれくらいにして、実例を幾つか挙げてこの責を免れよう。

1:唱戯的喝采(役者が喝采する)・・・・・・・・自画自賛する
2:泥菩薩洗臉(泥の菩薩が顔を洗う)・・・・・・洗えば洗うほど見苦しくなる
3:夢裡坐飛機(夢で飛行機に乗る)・・・・・・・空想的だ
4:大風地里吃餃子(大風の中で餃子を食べる)・・言い出しかねる
5:半夜里吃黄瓜(夜中にキュウリを食う)・・・・事の事情を知らない
6:太平洋的警察(太平洋の警察)・・・・・・・・余計なことまで口を出す
7:屋檐下的氷凌(軒下のつらら)・・・・・・・・原因は上にある
8:孫猴子坐天下(孫悟空が天下を取る)・・・・・やり方が大さっぱだ
9:做夢娶嫁婦(夢で嫁を貰う)・・・・・・・・・良いことばかり考える
10:猫儿哭老鼠(猫が死んだ鼠の為に哭く)・・・うわべだけの情け
 文字面でも大方見当が付く言葉も有れば、つかない言葉もある。ちょっと間に一言添えよう。
3:考えることが高い
4:とても口が開けられない
5:どっちが頭か尻か解らない
6:取り締まる範囲が広い
7:根は上にある?
8:毛むくじゃらの手足
         
口占二首
五尺青雲戴星耕,當年自識破風筝。
蓬頭未棄功名念,踐起脚來遥里程。


半生黄梁夢,雄心年少時。
頭上撒虱子,昨昔得意遅。

 

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