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漢詩詞の基本用件 中山逍雀漢詩詞創作講座 TopPage
漢詩詞創作の基本要件
作品に対する貢献割合
訴える相手の存在と | |
創作者の客観視能力 | 40% |
詩法 | 40% |
漢語語法 | 20% |
合計 | 100% |
差込 叙事法の一覧 定型の一覧 句法の一覧 對法の一覧 詩法の重要な順位
漢詩詞の創作には先ず訴えたいという意志と、訴えたい相手と、それを綴るための詩法が必要です。それらの要件が、出来上がった作品の完成度に、各々に役割を担っています。
訴えたい相手と訴えたいという客観的思考に基づく意志が、作品の完成度に及ぼす影響は80%と言いたいところだが、詩法が難しい事も考慮して、60%としておきましょう。
詩法が作品の完成度に及ぼす影響は、複雑で難しい割には低く、40%程である。このことは、差ほど難しい詩法を使っていないにも関わらず、比較的完成度の高い作品が見受けられることから、実証されます。
漢詩詞詩法を学べば同時に漢語の語法も学ぶこととなる。然しこれだけでは不十分である。決まり切った作品しか出来ないのである。あらゆる作品に対応するには、詩法の半分の努力を語法に費やす必要がある。
美しかった!美味かった!面白かった!悲しかった!嬉しかった!感激した!・・・・等の作品は、中華詩詞壇では、評価される作品には成りません。
先ず漢詩詞を作るに当たっては
@創作者に必要な要件は | A読者 |
B客観視 |
作品を創るには、作品を読んでくれる相手、即ちA読者とB創作者の個性としての客観視が必要です。
創作者の中には「私は読んで貰うことを前提にはしていない。自分の思いを漢詩にしているだけだ!」と言う人がいますが、漢詩詞は自己の思いを訴える事を前提にしていますので、この要件を欠きますと、作品として成り立ちません。
読者には、友人や親族、或いは社会などがあります。或いは、相手が自分で差し支え有りません。この場合、作品を創る当事者は、客観的立場に立っている必要があります。客観的立場に立った創作者が、現実社会に居る自分に対し、詩詞創作という手段を使って思いを述べるのです。自分が自分に宛てて思いを述べる点では、相手無しに語る独り言、独白体にも、似てはいますが、漢民族詩歌では、独り言の作品は滅多に見かけません。
客観的立場にいる創作者から見て、相手が現実社会にいる自分であっても、創作者と相手方の自分とは同一ではないのです。日本人の作品に屡々見られる、相手無しに独り言を並べ立てる作品は、漢民族詩歌では叙事法の一つとしては有りますが、それは単に叙事法の一つに過ぎないのです。
次に創作者には個性がある必要があります。自分の人生観、人となりを意識している必要があります。長年に亘って培われた人生観があるからこそ、詩詞創作によって自己の思いを何方かに訴えようとする行為、即ち、詩詞創作の動機と為るのです。
創作者の個性として必要な要件は
C創作者の個性 | D自己の客観視能力 |
E現実の客観視能力 |
何方にも個性はありますが、漢詩詞創作者としては、D自分の個性とE社会に対する個性を、共に客観視出来るという能力です。
自分自身を客観視すると言うことは、自分自身の思考位置を確定することに他なりません。自分自身の依って立つところが定まりませんと、ご自分や友人親族に対する思いを的確に述べることが出来ません。
ましてや、ご自分の依って立つところが定まりませんと、現実社会に対する思いも、その基礎が定まりません。
自分を客観視し、社会を客観視することは、漠然と俗世に浸っていては、なかなか感得出来ません。自分を客観視して自己を見つめ、社会を見つめることが出来ると言うことは、一つの能力です。然しこの能力は特段の修行を積まなくとも、一寸した工夫で体得することが出来るのです。
家族が出払った家で、テレビもラジオも新聞も、目と耳に入る総てを遮断して、一人ぽつんと何もせず、何も考えずに座って居てご覧なさい。何時もとは違った感覚が訪れるでしょう。此が物事を客観視する能力の入り口です。
もっと積極的に行うには、知らない土地に旅して、必要以外は周囲に何も話しかけず、ひたすら独りぼっちになって、一人で食堂に入り一人で旅館に泊まり、一人でビールでも飲めば、孤独感と共に物事が客観的に視えてきます。
更に能力を高めるには、座禅を試みたり登山をしたりして、精神と肉体とを併せた孤独を体験します。更に加えて孤独を体験するには、隠遁という方法があります。
生身の体と俗世との繋がりの殆どは金銭ですから、隠遁とか清貧とか言って、一時的に貧乏の疑似体験をするのです。
ただ漢詩詞詩人の言う隠遁や清貧とは、客観視する能力を養うための手段であって、貧乏の疑似体験です。有る程度の成果が得られ、予定の時が到れば又従前の裕福な環境に戻るのです。ずっと貧乏続きの赤貧とは基本的に違うのです。
創作者の個性が、自己の客観視に傾けば、人生の機微などの作品が創られ、現実社会の客観視に傾けば、社会に対する憂いなどの作品が創られます。現代中国の日本文化研究者達は、「日本の詩人は自己のために愁い、中国の詩人は国家のために憂う」と言います。各々国民の個性の一端を適切に言い得ています。
筆を執って書き始めるには詩法知識が必要です
詩法には四っの要件があります
創作に当たっての着手の順番は
1番 叙事法 |
2番 定型 |
3番 句法 |
4番 對法 |
叙事法
訴えたいと言う意志に駆り立てられれば、先ず筆を執ります。このとき最初に為すことは、何をどのように創るかと言うことです。題材と作品の趣旨です。
作品の題材は、挙げればきりがないが概ね七種類あります。
題名 |
座標 |
閑雅逸俗 | 1 |
愛慕情絲 | 2 |
親朋純情 | 3 |
陋巷雑詠 | 4 |
寓意偶題 | 5 |
山川覧勝 |
6 |
遊戯放逸 | 7 |
題材の何処を掴むか、どう扱うかは、作例を示してその任を免れます。
抒情 |
座標 |
其一 |
1 |
其二 |
2 |
其三 |
3 |
其四 |
4 |
其五 |
5 |
其六 | 6 |
其七 | 7 |
例示の作品は同一の題材を、異なった扱いで叙した作品です。
同一題なので作品を区別するために其一、其二としました。
周游四国八十八霊地七抒 五首二○ 註;○;門+癸;詞の量詞
其一
五言絶句
老樹花空落,優游日正長。偸閑何事好,凭欄浴春光。
七言絶句
梵城山麓隔塵埃,錫杖行尋百寳臺。偸閑念仏春四月,桜花片片勝游陪。
其二
凭欄人
風送紅塵春欲周,人仰青穹心自柔。焚香無所求,偸生恩未酬。
七言絶句
清明一路繞祗園,百里誦経爲客煩。同行二人能養老,焚香拝佛絶塵魂。
其三
七言絶句
堂前老女浴春光,清昼香烟滞法堂。未識無常先拝佛,不知句意只焚香。
七言絶句
白衣錫杖立堂前,福壽護符乞賽銭。拝廟歌聲先導下,不知章義総成禪。
其四
五言律詩
石磴春風冷,行人白道装。山桜花未發,何処自天香。
俗界塵無洗,方知尚虎狼。幽庭苔色碧,拝廟歎空嚢。
七言絶句
堂門古墨筆如龍,迷道仰天杖履從。獨領神山麓打磬,伽藍鎖路覓無蹤。
其五
解連環
麗春淋汗,白衣登磴砌,樹薫雲淡。老壮青、合掌焚香,念般若心経,真言經典。一畝清陰,聖人意、閑心温臉。楽浮世如夢,圓檀巡禮,古衢遊覧。
還尋法車道遠。愉心幽歩緩,影濃風暖。脚力疲、亦宿香臺,酒教俗情忘,敬愁吃飯。數想浮生,死尚競、墓碑高矮,創還存、香閣栄枯,甍輝衆懶。
七言絶句
白衣結隊興何狂,名刹導師説妙光。却憶高居梁下蟻,高碑寂寂無焚香。
其六
七言律詩
山門高聳逼人幽,両袖阿吽何被囚。浮世光陰人易老,時時景物萬端憂。
黄泉妙法天無語,處處祇林千歳修。諸行無常身後計,香銭合掌那須求。
七言絶句
白衣登磴花空落,黄髪仰天意自蒙。百代祥福委銭袋,千秋祕宝満禅宮。
其七
古詩
白衣凡夫春風外,錫杖念珠同一姿。不學句意説仏法,未識章義貪神詞。
商賈凋弊炊煙細,諸行無常人已知。萬唱真言追雄図,改築草庵成新祠。
争買護符求安寧,寺務繁多欲誇誰。競献香資摸銭袋,煩悩相交無可醫。
注;真言;般若心経
七言絶句
山門俯視白衣人,競買護符委此身。守否阿吽三歳福,信徒佛寺兩無因。
注:
七題七抒の表からご自分の作品が何処に位置するのかを確認して、自分の得意不得意を客観的に知る資料とすることが出来る。
作品を鑑賞する場合も、この表によって作品の位置を探れば、より深い理解が得られる。
註;七抒は編者が気儘に作った作品なので、掴み所を換えた七首の作品をご自分で創り、ご自分のテキストと為さるようお薦めする。
七題七叙 | 其一 | 其二 | 其三 | 其四 | 其五 | 其六 | 其七 |
閑雅逸俗 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 |
愛慕情絲 | 21 | 22 | 23 | 24 | 25 | 26 | 27 |
親朋純情 | 31 | 32 | 33 | 34 | 35 | 36 | 37 |
陋巷雑詠 | 41 | 42 | 43 | 44 | 45 | 46 | 47 |
寓意偶題 | 51 | 52 | 53 | 54 | 55 | 56 | 57 |
山川覧勝 | 61 | 62 | 63 | 64 | 65 | 66 | 67 |
遊戯放逸 | 71 | 72 | 73 | 74 | 75 | 76 | 77 |
01-漢詩詞評林體 | 02-漢詩詞論詩 | 03-漢詩詞詠物 |
04-漢詩詞紅匳體 | 05-漢詩詞詠史 | 06-漢詩詞集句 |
07-漢詩詞實景虚景 | 08-漢詩詞客観視 | 09-漢詩詞借物写情 |
10-漢詩詞詠題意 | 11-漢詩詞寄思題 | 12-漢詩詞 問答 |
13-漢詩詞諧謔 | 14-漢詩詞 画讃 | 15-漢詩詞 題画 |
16-漢詩詞藏頭格 | 17-漢詩詞 賦 | 18-漢詩詞 比 |
19-漢詩詞 興 | 20-漢詩詞轆轤体 | 21-漢詩詞連還體 |
22-漢詩詞柏梁體 | 23-漢詩詞宝塔詩 | 24-漢詩詞野馬臺 |
25-漢詩詞紀行連作 | 26-漢詩詞 互文 | 27-漢詩詞 互換 |
28-漢詩詞叙事連作 | 29-漢詩詞景物顕示 | 30-漢詩詞離合体 |
31-漢詩詞獨木橋体 | 32-漢詩詞変体詩 | 33-嵌字体 |
34-分咏体 | 35-合咏体 | 36- |
定型
叙事法の選択で、何をどの様に述べるかが決まったら、それを入れるに相応しい器を決めます。漢詩詞は定型、即ち器の数が多いので器の不足に悩むことは余りありません。
1-漢詩詞の韵と平仄 | 2-曄歌 | 3-坤歌 |
4-偲歌 | 5-瀛歌 | 6-漢俳 |
7-漢詩詞の承轉合 | 8-漢詩詞句の構成 | 9-漢詩五言絶句 |
10-漢歌 | 11-漢詩六言絶句 | 12-填詞慶宣和 |
13-楹聯 | 14-填詞章臺柳 | 15-填詞三臺令 |
16-填詞江南春 | 17-填詞南歌子 | 18-漢詩律詩 |
19-漢詩五言律詩 | 20-漢詩五言排律 | 21-漢詩五古一韵 |
22-漢詩五古換韵 | 23-漢詩七言絶句 | 24-填詞歸字謡 |
25-漢詩七言律詩 | 26-漢詩七古一韵 | 27-漢詩七古換韵 |
28-填詞望海潮 | 29-填詞沁園春 | 30-填詞八聲甘州 |
31-填詞桂枝香 | 32-填詞解連環 | 33-詩詞の句數字数 |
34-自由漢詩詞 | 35-賦 | 36-漢詩の律絶古絶 |
37-五七律 | 38-填詞竹枝 | 39-漢詩の奇句詩 |
40-笠翁對韵 | 41-羊角對 | 42- |
句法
句法とは、作品の設計図です。設計如何で作品の出来栄えに大きく影響します。作品を構成する上で、最も力を注がなければ為らない詩法です。
01-漢詩詞句法総論 | 02-漢詩詞句の四實 | 03-漢詩詞句の四虚 |
04-漢詩詞前虚後實 | 05-漢詩詞前実後虚 | 06-漢詩詞句の実接 |
07-漢詩詞句の虚接 | 08-漢詩詞句の孤平 | 09-漢詩詞句の拗救 |
10-漢詩詞句の用事 | 11-漢詩詞句の前對 | 12-漢詩詞句の後對 |
13-漢詩詞句の依韵 | 14-漢詩詞句の和韵 | 15-漢詩詞句の用韵 |
16-漢詩詞句の次韵 | 17-漢詩詞句の畳韵 | 18-漢詩詞進退韵 |
19-漢詩詞義の双關 | 20-漢詩詞音の双關 | 21-漢詩詞轆轤韵 |
22-漢詩詞回文-2 | 23-漢詩詞點線面 | 24-漢詩詞句の顔色 |
25-漢詩詞異次元 | 26-漢詩詞句の時限 | 27-漢詩詞句の虚実 |
28-漢詩詞視点場 | 29-漢詩詞主客転換 | 30-漢詩詞句一三五 |
31-漢詩詞句の区切 | 32-漢詩詞錯綜 | 33-漢詩詞同字重出 |
34-漢詩詞冒韵 | 35-漢詩詞回文-1 | 36-漢詩詞の粘綴 |
37-漢詩詞聯句 | 38-漢詩詞口號 | 39-漢詩詞の口占 |
40-漢詩詞唱和 | 41-漢詩詞の唱酬 | 42-漢詩詞の追和 |
43-漢詩詞詩眼 | 44- | 45- |
對法
句法を作品の設計図とすれば、對法は施工法の一つと言えます。
01-漢詩詞對句総論 | 02-漢詩詞の離合對 | 03-漢詩詞對の判別 |
04-漢詩詞の双聲對 | 05-漢詩詞双聲仄對 | 06-漢詩詞の隔句對 |
07-漢詩詞の句中對 | 08-漢詩詞の對の對 | 09-漢詩詞の走馬對 |
10-漢詩詞の俯仰對 | 11-漢詩詞の顔色對 | 12-漢詩詞の数字對 |
13-漢詩詞の正名對 | 14-漢詩詞の同類對 | 15-漢詩詞の虚実對 |
16-漢詩詞の連珠對 | 17-漢詩詞の畳韵對 | 18-漢詩詞の双擬對 |
19-漢詩詞の字對 | 20-漢詩詞の異類對 | 21-漢詩詞天文時令 |
22-漢詩詞地理地名 | 23-漢詩詞の宮室對 | 24-漢詩詞器物衣飾 |
25-漢詩詞の飲食對 | 26-漢詩詞の草木對 | 27-漢詩詞の鳥獣對 |
28-漢詩詞の形体對 | 29-漢詩詞の人倫對 | 30-漢詩詞の人名對 |
31-漢詩詞の史事對 | 32-漢詩詞の方位對 | 33-漢詩詞の干支對 |
34-漢詩詞の朝夕對 | 35-漢詩詞の視聴對 | 36-漢詩詞の実字對 |
37-漢詩詞の虚字對 | 38-漢詩詞の連綿對 | 39-漢詩詞の文事對 |
40-漢詩詞の迴文對 | 41-漢詩詞の巧変對 | 42-漢詩詞の錯綜對 |
43-漢詩詞の倒装對 | 44-漢詩詞の疑問對 | 45-漢詩詞の問答對 |
46-漢詩詞の借音對 | 47-漢詩詞の借義對 | 48-漢詩詞の借字對 |
49-漢詩詞連綿字對 | 50-漢詩詞對仗形態 | 51-漢詩詞の寛對 |
52-漢詩詞の借對 | 53-漢詩詞羊角對 | 54-漢詩詞の合掌 |
1位 句法 |
2位 對法 |
3位 叙事法 |
4位 定型 |
創作思考作業で最も意を注がなければ為らないのは、句法です。句法は設計図に相当し、この巧拙で作品の巧拙が決まると言っても過言ではありません。
對法は、句法によって与えられた条件に従って、指図通りに組み立てれば、ほぼ条件は満たされます。
叙事法は、創作者の趣向に依って決まる事柄です。
定型は、叙事法の条件に依って決まる事柄です。
巧い作品とは
巧い作品とは、すらすらと読めて、いつの間にか作品の趣旨にのめり込んでしまう作品を言います。何度でも読んで看たいという気持ちにさせます。分かり易くするためにデパートに擬えて説明しましょう。
この作品の基本にあるのは、創作者と読者の関係です。ちゃんと読者を意識して創ってあるか否かです。お客さんを意識して開店しないデパートは何れ潰れてしまいます。
先ず何を商うかを決めます。題名の項目になります。看板を看ますと大凡の内容は分かります。作品の内容に相応しい題名を付けましょう。
商いをするには、どんな商品を扱うのかを決めます。日用品を扱うのか、高級品を扱うのか、専門品を扱うのか、を決めます。此が叙事法の抒情の項目になります。
さあ看板を掲げ、扱う商品も決めました。お客様に入って戴きましょう。幾ら入り口が良くとも、中に入ったら迷路のようでは、お客さんは、ウンザリします。
お客さんの心を誘導するには、句法と言う全体の配置図が必要です。動線の設計がとても重要です。作品の巧拙は句法の巧拙が大きく関係します。
句法の指図に従って、順序正しく商品が配置されます。お客さんの目の動きや歩幅に合わせて効果的な配置として、小気味よい品揃えが為されます。此が對法です。ところが、割れやすいガラス器が、不安定な高い棚の上に置いてあったりして、お客さんは心配で手が出せません。商品配置が出鱈目で、適材適所を弁えず、ただ並べただけでは、商品は買って呉れません。何を言っているのか分からない漢詩詞が有ります。此も同じです。
さあ此で漢詩詞デパートのレイアウトの大略が纏まりました。ただ時たま、昔どこかで聴いて来たデパート戦略法に固執するオーナーが居ます。時代も移り変わって今では通用しないのに、昔の方法が一番と意識改革をしないのです。此では矢張り、自分の仲間内だけしか来てくれません。圏外のお客さんは素通りしてしまいます。
判断を人任せにするオーナーが居ます。誰それ先生かこう言った!此此先生かこう言った!自分ではろくに考えず、殆ど人任せです。経営不振になっても他人のせいにします。こういう人はオーナーの才覚がありません。
商品棚を覗いてみましょう。偽ブランド品が並んでいました。此はとてもまずい事です。漢詩詞では剽窃と言いますが、著作権侵害になりかねない事ですし、お店の信用を台無しにしてしまいます。この剽窃は知識不足のオーナーが功を焦って、つい手を出してしまう事があるので注意しましょう。
商品説明をする張り紙があります。商品知識が希薄で、何が書いてあるのか分かりません。笑い事ではありません。漢詩詞作品には多いのです。
わけの解らない品がありました。オーナーが趣味で自宅に並べて有ったものを、デパートの商品棚に並べて仕舞ったのですね!独白体ですね!お客さんは嫌気がさして直ぐに店を出てしまいます。
博物館にあるような骨董品が有りました。お店の品格を揚げるに相応しいものと、あまりに立派すぎて、博物館と勘違いされるものもあります。扱いには注意しましょう。此を典古と言います。一つなら無難ですが、典古を複数並べるのは、典古と典古が相乗効果をもたらす場合と、互いに足を引っ張る場合があるので、注意を要します。
実際には此処にないのに、宣伝文句ばかり書いたチラシが貼ってあります。アニメと断っていれば、其れは其れで良いのですが、有りもしない事が書い有ると、お客さんが迷ってしまいます。絵空事を書いた作品です。此は、読者を馬鹿にしているか、嘘つきか知識不足を自分で証明しているようなものです。
北海道産のタケノコと銘打った商品が並べてありました。寒いところでタケノコは収穫できないのに、事実誤認も甚だしいですね!此も商品知識の不足ですめば、笑い話ですみますが、嘘つき!呼ばわりされかねません。
どこが入り口だか、何処が出口だか、気にいった物も買いたいのに、ぐるぐる回っている中に、いつの間にか外に出てしまいました。何のイメージも残りません。起承転合が曖昧だからこうなるのです。
起承転合の「合」はお客さんの心をくすぐる、あの商品が気にいったから、もう一度来てみようかしら!と心をくすぐる方法を採りなさいと言っているのです。
おまけに、出口で守衛さんに、このデパートの品揃えは貴方にピッタリです!と、こちらの趣向に関わりなく言われて、ああ散散でした。起承転結なんですね!
立派な建物に沢山の品揃え、念願のデパートを創って、オーナーさんはご満悦、すっかりお客様のことは忘れてしまいました。自己満足では、お客さんは来てくれません。
良いデパートとは、品揃えはさほど多くないのに、何度来ても新しい商品が発見できて、リピターが多い店舗です。
漢詩詞の指導者に為るには
漢詩詞の指導者になるには、佳作が作れることは条件ではありません。佳作の作れる者には、又その弊害も有るのです。
ちょっと聴いただけでも知っていると言う人も居るそうですし、読んだだけで知っていると言う人も居ます。本当の知識は、聞いた話でも読んだ話でも、少なくとも一度は自分で再確認してみることです。再確認して納得が出来たら、初めて大手を振って自分の知識である!と言えます。又、分からない!不確実!とも言えます。
知識が理路整然としていて、知っている事と、知らない事をはっきり弁えている事です。自分自身の現実を知っていれば、どの様な場面に遭遇しても臆することなく、自信を持って講座を開くことも出来ますし、講演を為すことも出来ます。
作品は相手に読まれて、或いは聴かれて、作者の意図が理解されてこそ、作品として成り立つ!日本人が作る漢詩詞作品も、日本人だけではなく、漢民族に通じ、理解されて、初めて作品として成り立つ。
もし、漢民族には読めない!或いは耳で聴いても解らない!のであれば、其れは作品としては成り立たない。漢民族とは、歴史上の漢民族ではなく、現代の漢民族、言い方を変えれば、現代殆どの中国人である。一概に中国人と言っても、教養の云々はあるが、新聞が読める程度の教養を前提とする。
文法に適ってさえいれば、中国人にも読める!語彙が正しければ読める!とは限らない。日本人にも謂えることだが、中国人も普段は複雑な構文も、古典文法も、古典語彙も古典漢語も、総てを識っているわけではない。
日本の漢詩愛好者の幾人かは、この現実を考慮せずに、作品を作る。その結果、日本国内では評価されても、中国国内では評価されない。実を謂えば、評価されないのではなくて、中国人には読めない!或いは作者の意図と同様に読み取って呉れているとは限らないのである!此では作品として成り立たず、巧拙以前の問題である。
漢詩詞作品は、中国人に読めて、趣旨が理解されて、初めて作品として成り立つ。此は作品の巧拙以前の、笑えない現実である。
もう一点、日本の漢和辞典に書かれている説明と、中国の字典に書かれている説明と、必ずしも一致しているとは限らない。依って余りゴテゴテ述べると、日本側の趣旨と、中国側の趣旨が離れてしまう事もある。この弊害を避けるには、簡潔に述べなければならない。
此の愚を避けるためには、簡単な構文で、簡単な語彙で、簡潔に述べる事を忘れてはならない。
曄歌坤歌偲歌瀛歌三連五七律自由漢詩笠翁対韻羊角対漢歌漢俳填詞詩余元曲散曲楹聯はこの講座に記載があります