漢詩詞対句對の對 中山逍雀漢詩詞填詞詩余楹聯創作講座
形式
對を構成している句に対して對を為す構成を對の對と言う。例えば五言句或いは七言句の場合、一見して出句の対で無いような落句は、殆どの場合、句中対を取り入れた對の對を為していると言える。
對の對は對である。この詩法は實虚の対を構成する場合に使いやすい詩法である。
柿熟雲流秋入画,尋詩伴友硯留塵。
出句と落句を比べると、「柿熟雲流」と「尋詩伴友」の構文の異なっている事に気が付く。この部分で、落句は出句の對とは成らない。同じく「秋入画」と「硯留塵」を比べると、構文が同じで対を為している。
柿熟 |
⇔ |
雲流 | 秋入画 | 出句 | |
對仗 |
|||||
尋詩 | ⇔ |
伴友 | 硯留塵 | 對句 |
これは「柿熟雲流」は句中対を構成し、「尋詩伴友」も句中対を構成しているので、互いの対は構文が違っても對となると言う約束事がある。これは句中対と出句落句の對を織り交ぜた形式である。
細雨微風庭院寂,懐人凭机夕陽空。
細雨 |
⇔ |
微風 | 庭院寂 | 出句 | |
對仗 |
|||||
懐人 | ⇔ |
凭机 | 夕陽空 | 對句 |
洗暑浮舟魚忽躍,潮聲島影水茫洋。
これは複雑な構成である。
悵望千秋一灑涙,蕭条異代不同時。 杜甫 詠懐古蹟
悵望と蕭条で一組 出句落句の對
千秋と一灑涙で一組 句中對
異代と不同時で一組 句中對
補追:千秋一灑涙は千秋○一灑涙の省略形である。同様に、異代不同時は異代○不同時の省略形である。
補追:悵望千秋一灑涙と蕭条異代不同時は、どちらも時限に拘わる事柄だから、その儘でも對と成るとも言える。数詞は数詞と言う原則論に基づくならば、句中対の応用とも言える。
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