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漢詩詞の三要素TopPage

 漢詩詞の構成に当たって一般には、韻と平仄が喧しく謂われているが、もう一点、文字数の規定がある。韻律・平仄律・音数律の三点である。韵も平仄も漢語である。

1− 母音を謂う

 日本語には母音がアイウエオの五個しか有りません。
 漢語には、現代韵では十八個、中華新韵では十六個の母音が有ります。

  日本語の母音は、漢語の母音に比べて余りにも少ないので、日本の詩歌では漢語詩歌のように、詩詞の要素に母音を規定することは、事実上不可能です。然し幾つかの日本詩歌に母音の要件を組み入れた作品は有りますが、此はその作品一点に限ったことで、普遍的な事柄ではありません。

 韻律とは、母音(韵)の組み合わせによるリズムを云います。

 

2−平仄 音のアクセントを謂う

 母音(韵)と子音(聲)で構成されたものを仮に「音」と云えば、日本語の音は、稀に例外はありますが、その殆どが同一周波数で構成されています。
 漢語の音は、第一声調・第二声調・第三声調・第四声調・軽音の五つの形態があります。
 第一声調は、始点と到点が同一の周波数で構成される音を謂います。
 第二と第四聲調は、始点と到点の二っの周波数の変化で構成される音を謂う。
 第三声調は、始点中点到点の三っの周波数の変化で構成される音を謂います。
 軽音は、声調を伴わない短い音を謂います。

 平仄律とはアクセント(平仄)の組み合わせによるリズムを云います。

 

3−音数 音の数を謂う

 音の数とは、詩ならば、五言七言などというように、音の数が規定されています。更に五言句は二音と三音で構成され、七言句は四音と三音で構成されます。尚、たとえば七言句の中の四音部分、或いは三音部分に於いて、此処で更に音を分ける規定はありません。

 詞の場合は、詩と比べて一句の長さが多様であり、句の中に於いて、音を配分する規定が多々見受けられます。1+4や2+3や1+5等と書かれて居るのは、音の配分規定を表しています。たとえば 有新詩 は 有+新詩 と発音されます。即ち1+2です。月光新 は 月光 新 と発音されます、即ち2+1です。
 音数の規定は、詩では2+3或いは4+3の二通りしか有りませんが、詞に於いては逐一記載できないほど多量に存在します。

 音数律とは音の数の組み合わせによるリズムを云います。

 

4−音とアクセント(平仄)

 日本語の音は一つの子音と一つの母音で構成されますが、漢語は、厳密に見れば一つの子音と一つの母音で構成される音と、複数の子音と母音で構成される音があります注:1。依って、日本語の音と区別するために、仮に音塊と云います。又更に、アクセントは、厳密に言えば始点と到点の二つの音塊、或いは始点中点到点の三っの音塊より構成されています。

注:1;漢字を会話程度の早さで聞き取ると、一つの音として確認されますが、ゆっくりと発音した場合には、幾つかの聲の集合体で有ることが確認できます。漢語の発音は、一つの音として表記されていますが、厳密には複数の聲を一つの音の塊として云われている場合が多々有ります。
 この事実は、「注音字母」で発音表記された詞典を視れば一目瞭然です。(アルフアベット綴りの発音表記は、共産党政権に成ってから制定された表記法です。)
 循;丁凵勹;Xun

注:人間が認識できる音域で、一般人が日常的に識別できる周波数の違いの数はそれほど多くは有りません。
注:注音字母;定型篇第一項参照。注音字母の注音譜号は三十七個有り、一字を一譜号で表示できる場合は、三十七の注音譜号が総て母音となり得る。一字を複数の注音譜号で表示する場合には、十四個が母音となり得る。

 

5−日本詩歌のリズムについて

 漢民族詩歌には、韵・平仄・音塊数の三要素が有るのに比べて、日本詩歌には、音数の要素ただ一つです。依って日本詩歌には韻律或いは平仄律を云う根拠は存在しません。

 

6−曄歌について

 曄歌の漢字十字の情報量は日本詩歌の仮名十七文字に相当し、韻律と平仄律は漢詩詞に適合している。音数律は漢字十字の音塊に内包する音の数が、厳密に言って十音とは限らない。
 漢字の一音塊が一音とは限らないことを考慮すれば、曄歌の音数律は日本詩歌の音数律とさほどの乖離は無いと判断される。この事は、坤歌・偲歌・瀛歌にも謂えることである。

 

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