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対象と自己TopPage

 詩詞の本義は自己心情の発露で有る。看て聞いて触って想って擬らえて等々色々な場面が有るが、それらを土台にして現在の自己心情を著すのである。

 目前の景色を見て自己の心情を著すなら、景色も自己も同一の次元に属す。過去の風景を思い浮かべて自己の心情を著すなら過去と現在、将来を想像するなら現在と未来など、自己とは時空を異にする。

 映画やテレビ、書籍などに対象を置くと、虚の対象物と実の自己との間で、虚と実の関係が生じる。これらの関係を曖昧に放置すると、模糊として切れ味に欠ける作品になって仕舞う傾向がある。


時元

 時元とは過去、現在、未来などの時間軸を謂う。即ち体積を有する三次元に時間軸を加えて、四次元の世界を描き出す。

  長安遭馮著 韋應物
客従当方來,衣上□陵雨。   □;水+覇     現在は雨で濡れている。
問客何爲來,采山因買斧。              
冥冥花正開,□□燕新乳。   □;風+易
昨別今已春,鬢絲生幾縷。             昨年別れたばかりなのに、今は鬢絲に幾筋かの白髪が混じっている。

  淮上喜會梁州故人 韋應物  友人に出会ったことを歓んで
江漢會爲客,相逢毎酔還。    私が以前住んでいたところ・・・
浮雲一別後,流水十年間。    一度別れてしまった後の十年間は
歓笑情如舊,蕭疏鬢已斑。    喜び合う気持ちは、以前と変わらないが、鬢の毛は
何因不歸去,淮上有秋山。    どうして帰ってこないんだ!

  雲陽館與韓紳宿別 司空曙  同宿して別れることとなって  
故人江海別,幾度隔山川。    (以前)江海で別れを告げ、幾度も山川を隔てることとなった
乍見翻疑夢,相悲各問年。    (今)突然に出会って、夢かと疑い、互いに年齢を尋ね合った    
孤燈寒照雨,深竹暗浮煙。    (今)灯火は雨を照らし出し
更有明朝恨,離杯惜共傳。    (今)明朝別れの恨めしさが有ると思えば、離杯も躊躇いがちになる

  喜見外弟又言別 李益
十年離亂後,長大一相逢。
問姓驚初見,称名憶舊容。
別來蒼海事,語罷暮天鐘。
明日巴陵道,秋山又幾重。

  赤壁 杜牧
折戈沈沙鉄未錆,自将磨洗認前朝。
東風不與周郎便,銅雀春深鎖二喬。
 砂の中から昔の戈を拾い出し、その戈の使われた時代を思いだし、過去の事象に仮定を立てて、赤壁の戦いに都合よく東風が吹かなかったら、喬氏の美女二人が銅雀台に閉じ頃られる事もなかったろうに!

 

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