漢詩詞叙事創作の基本要件 中山逍雀漢詩詞填詞詩余楹聯創作講座 TopPageこちらからもお探し下さい

創作の基本要件

 この講座は、中華詩詞壇に通用する作品を作ることを前提に、中華詩詞壇諸賢と同等の技量を習得することを目的とする。本講の記事は総て中華詩詞壇諸賢との面談によって端緒を取得し、或いは口頭で、或いは書冊で、或いは文通によって此を補完したものである。 

 漢詩詞楹聯を作るにあたり、これだけは守らなければならない!或いは守る事に依って、より早く、より的確に佳作に近づける。漢詩詞は漢民族の詩歌で有る!依って漢民族の詩法に依る事を前提とし、詩法の論拠は現代の漢民族詩家に求めた。

 句の綴り方
 漢語の基本構成は 主語+述語+客語 である。この構成を基本として、より簡潔な構成とすることが必要で、漢民族作品の殆どは、簡潔な構成に依って綴られている。
 複雑な構成と古漢語の多用は、漢民族と雖も難なく読める訳ではない。漢民族が通常使うのは、日常漢語で有るが、漢詩詞には、「古漢語」が多用され、日常的に使う漢語ばかりではない。そして、古漢語には、「古漢語詞典」があり、逐一字義の検索が行われている。
 更に、日本の「漢和辞典」の字義と、漢民族の「古漢語詞典」の字義とを比較した場合、多くの文字に、僅かな相違があり、総てが同一字義とは限らない。
 これらの現実を勘案すれば、日本側と漢民族側とで、出来る限り解釈の相違を縮小するには、簡単な構文で!簡潔に述べること!が有効な手段であり、この二点を疎かにしてはならない。
 言葉は共通の認識が得られることが前提で、共通の認識が得られなければ、既に言葉ではない!間違えると謂うことは、言葉ではなくなる!事である。複雑な構成は、間違いを犯しやすい。
 更に笑えない現実として、日本語を漢字で綴っても漢語には成らない。漢語でもなく、日本語でもない綴りは、創作の意義を為さない。

 叙事のあり方
 簡潔に述べることを基本とする。
 漢詩詞は国際通用することが前提であるから、自国民には理解できても、外国人に理解できるとは限らない。叙事を為すことは、共通の理解が得られることを前提とする。共通の理解が得られないならば、既に叙事を綴る意義がない。

 起承転合
 句の配置は起承転合を基本とする。
 日本では起承転結と言われているが、漢民族詩歌では、起承転合で有る。転結と転合とは、明確に判別されている。
 合句とは、結論を導き出す糸口を与える句で有る。

 二句一意一章
 出句と落句で二句一意一章を為す。
 起承で二句一意一章である。
 転合で二句一意一章である。
 依って、承句と転句とは、章を異にして、繋がってはならない。

 逗点・句点・韵點
 逗点・句点・韵點を疎かにしてはならない。日本人は標點を疎かにしているが、これらの標點は作品の重要な要素である。標點を疎かにした場合には、創作上の間違いとなる。
 定型の極めて少ない詩では差ほど、読み違いの原因には成らないが、詞では、標點の脱落が読み違いの大きな原因となる。

 論旨の基点
 独り言であってはならない。
 必ず、読者という相手が居ることを前提とする。
 独り言は、個人の内面的な事柄で、日本人でも異国人でも、正確に理解してくれるとは限らない。
 詩詞創作は自己の意思を伝える手段である。独り言はあくまで独り言に過ぎない。

 論旨の拠り所
 拠り所を暑い・寒い・美しい・悲しい・怒る、などの自己の感覚に頼ってはならない。
 漢詩詞創作の意図は、自己の考えを他者に伝える事に有り、その拠り所は、自己の考えに依らなければならない。考えを持たずに綴った作品は、当然として読者にも意味不明である。

 

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