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呉梅村体
清代はおよそ260年間、多くの著名詩人が現れた。中には優れた詩人が自らの詩体を形成している。詩論家は清代全体を時期によって、清初体・乾嘉体・同光体の三っに区分している。然しこの分類法は各の時期の詩人達を大体統括しているが、詩人の風格を区分することはできない。唐詩の分類と同じように、時期によって三期に分類し、次にその期間中の詩体を紹介する。
第一期は清初の順治・康煕・雍正と言う三皇帝、90年間（1644～1735年）を言う。著名な詩人としては、銭謙益・呉偉業・王士貞・朱彝尊・宋ﾜﾝ（U742C 王＋宛）・施閠章・屈大均・張執信・査愼行・厲鶚・呉梅林・王漁洋などが居た。詩体に成ったのは主に二つである。
呉梅村の号は梅村である。彼は様々な詩体に精通していたが、特に七言歌行が有名で、格律に於いて初唐の四傑を師として継承しており、叙事と叙情に於いては、中唐の白居易、元ｼﾝ（U7A39 禾＋眞）の影響を受けている。詩の表現は婉曲に語り、感情は豊かで言葉も美しく、音韻も快い響きがある。
彼は、明末清初の動乱期に生まれたので、人民の苦しみを良く知っていた。前代の士太夫層の一人として、自らの経験を持って、当時の社会生活を反映する詩を多く書いている。それ故、内容的にも形式的にも、独自の風格を持って清代初期の大詩人の一人となった。
呉偉業、（1609～1671）。字は駿公。号を梅村と称し、江蘇省太倉の人。明の万暦37年に生まれ，清の康熙10年に没する。呉梅村の詩は明末の史詩と言はれる。七言歌行に優れ、最も古詩に勝れ、明三百年の他の詩人を圧倒する。
強いられて清朝に仕え二年足らずで辞任したが、明朝と清朝に仕えた自分の変節を生涯後悔して止まず「我れ本と淮王の旧鶏犬、仙に随って去らず人間に落ちる」と歌い。死に臨み、墓には「詩人呉梅村」とのみ刻し、墓碑銘さえ他人に乞わなかった、と言う。
呉梅村
戯贈
梅根冶後一庭幽，桃葉歌中両漿留。
管是夜深嬌不起，隔簾小婢喚梳頭。
戯贈
香鎖宝鴨月如霜，欲罷樗蒲故拙行。
倦倚局邊佯数子，暗抬星眼擲児郎。
明慧可喜口占贈之四首
十二峰頭降玉真，楚宮被禊采蘭辰。
陳思枉自矜能賦，不詠湘娥詠洛神。
明慧可喜口占贈之四首
畫梁双燕舞衣軽，楚楚腰支総削成。
記得銭塘両蘇小，不知誰箇擅傾城。
偶成
好把蛾眉闘遠山，鈿蝉金鳳緑雲鬟。
畫堤無限垂垂柳，輸與楼頭謝阿蠻。
感旧
赤欄橋護上陽花，翆羽雕籠語緯沙。
羨殺江州白司馬，月明亭畔聴琵琶。
贈冦白門
南内無人吹洞簫，莫愁湖畔馬蹄驕。
殿前伐尽霊和柳，誰與蕭娘闘舞腰。
贈冦白門
朱公轉徒致千金，一柯西施計自深。
今日祇回勾践死，難将紅紛結同心。
阻雪
開山雖勝路難堪，纔上征安又鮮驂。
十丈黄塵千尺雪，可知倶不似江南。
詠柳
走馬章臺酒半醒，遠山眉黛自青青。
輸他張緒誇年少，柳宿傍邊占小星。
口占贈蘇崑生
楼船諸将碧油幢，一片降旗出九江。
獨有亀年臥吹笛，暗潮打枕泣蓬窓。
口占贈蘇崑生
有客新経随涙碑，武昌官柳故垂垂。
扁舟夜半聞蘆管，猶把当年水調吹。
口占贈蘇崑生
西興哀曲夜深聞，絶似南朝汪水雲。
回首岳侯墳下路，乱山何處葬将軍。
読史有感
弾罷薫絃便薤歌，南巡翻似為湘娥。
当時早命雲中駕，誰哭蒼梧涙点多。
読史有感
上林花落在芳蓴，不死鉛華只死恩。
金屋有人空老大，任他無事拭啼痕。
戯題士女図 （一舸）
覇越亡呉計已行，論功何者賞傾城。
西施亦有弓蔵懼，不獨鴟夷変姓名。
戯題士女図 （出塞）
玉関秋尽鳫連天，磧裏明駝路幾千。
夜半李陵臺上月，可能還似漢宮圓。
読陳其年邦江白下新詞
細轂珠簾燕子忙，宮人斜畔酒徒狂。
阿摩枉奏本陳曲，水調風流属窈娘。
題冐辟疆名姫董白小像
珍珠無價玉無瑕，小字貪看問妾家。
尋到白堤呼出見，月明残雪映梅花。
畫中九友歌
華亭尚書天人流，墨花五色風雲浮。
至尊含笑黄金投，残膏剰馥鶏林求。
畫中九友歌
檀園著述誇前修，丹青餘事追営丘。
平生書畫置両舟，湖山勝處供淹留。
畫中九友歌
一生迂癖為人尤，僮僕窃罵妻孥愁。
痩如黄鵠閒如鶴，烟駆墨染何曽休。
聴朱樂隆歌
一春絲管唱呉趨，得似何戡此曲無。
自是風流推老輩，不須教染白髭鬚。
厲鶚（1692～1752）。字は太鴻。号は樊（木＋射）。淅江省銭塘県の人。厲鶚の家は極貧な状態であった。然し、当時は優れた詩人や学者を保護する篤志家の民間人が各地に現われていた時代であった。俗に言うパトロンである。厲鶚の場合は、河北省天津の査為仁。江蘇省揚州の馬曰（王＋官）。杭州の呉（火＋卓）。等、詩人でもあり学者、富豪で蔵書家である人々に奇寓しながら研鑚した。日本でも明治時代、大倉財閥が漢詩人を援助した例で説明できる。
厲鶚
秋夜宿葛嶺涵青精舎二首
笑看圓月上前峰，塔影微瀾臥玉龍。
林際窺人太無夢，好風吹送隔湖鐘。
秋夜宿葛嶺涵青精舎二首
書燈佛火影清涼，夜上層楼看海光。
蕉風暗廊蟲弔月，無人知是半閒堂。
蝋梅
匀掠宮黄鬢朶鮮，斜門疎竹暎便娟。
年年分餉銅街處，正是城南小雪天。
冬日雑詩二首
水辺僧屋刹竿雙，飢鳥窺人上石幢。
解向西風吟落葉，黄金合鋳賈長江。
人日遊南湖慧雲寺七首
南湖春水緑温暾，老柳生稗竹有孫。
頭白僧閑能引路，斜陽挂處指三門。
人日遊南湖慧雲寺七首
朱崖南去鳥呼風，草木平泉笑衛公。
何似試香城北野，残僧礼拝冷烟中。
人日遊南湖慧雲寺七首
登高何處可忘帰，古寺梅風動客衣。
漸有放生團社約，魚苗如蟻水初肥。
沙河
澄明日影射魚罩，淡冶風光上鴨陂。
斉浸籬根三尺水，小桃正是試花時。
西渓月夜懐大滌山二首
天柱峰頭見晴雪，揺壇玉洞暗相連。
石林夙具看山癖，也負知宮三十年。
西渓月夜懐大滌山二首
雲根際夕抱冬心，渓曲沿縁不可尋。
遙想郭文棲隠處，夜泉孤月萬松深。
題水居逃暑図
峭壁挿天下無地，萬荷喧雨境蕭然。
適來披畫當秋爽，尚想風亭散髪眠。
題対山開巻楼壁
僧楼恰対恵峰開，寒玉冷冷歩履回。
侍與山霊話畴昔，杜鵑紅處我曽來。
同程友声紅橋夜汎
月黒水深荷葉路，涼蛍無数繞船飛。
與君今夜紅橋酒，不負揚州白苧衣。
題陳楞山秋林読書図
橋隠廻渓樹隠櫺，人間有此小林経。
西風日日翻書葉，吹得数峰如許青。
四月十日湖上作
愛來湖上作浮家，艇子衝波一道斜。
日晩水仙祠下去，青山影裏采蘋花。
山陰舟中四首
寒雨欺晴暁未歇，故添湿翆到船窗。
西風併作銷魂思，新雁一声飛渡江。
山陰舟中四首
白塔湖邊孤櫂開，風回忽巻乱雲堆。
越山絶似西施髻，朶朶翆翹浮水來。
寶應舟中月夜
蘆根渺渺望無涯，雁落圓沙幾点排。
明月堕烟霜著水，行人今夜宿清淮。
蒙陰
衝風苦愛帽簷斜，歴尾無多感歳華。
却向東蒙看霽雪，青天乱挿玉蓮花。
西湖竹枝詞三首
楊柳作花湖水香，湖上楼高不見郎。
西山悩殺冷泉冷，南山愛殺長橋長。
蝋月二十四日探梅孤山題壁
屈曲紅欄繞幾巡，冷雲先作一分春。
梅花半樹倒臨水，便與逋仙写小身。
雨後写望
風敲病葉入疎櫺，雲破寒山数筆青。
十日鼓琴晴初出，夕陽依旧満廻汀。
巌朗屋写小像為杜子春事索題四首
長安遊戯倦風埃，論到銭愚劇可哀。
脱手紫標三百萬，杜郎侠骨本仙才。
朱彜尊は淅江省秀水の人。、国祚の祖孫。字は錫鬯といい、号は竹ダ（土它）。鴎舫。小長盧釣魚市。金風亭長。康熙中鴻博に挙げられ、検討に拝せられる。明史の編修に與り後、内廷に入直する。考證に長じ、詩は王士禎と南北の両大家と称され、多彩な詩才は艶体、竹枝に及び他に比類なしと称される。著に曝書亭集がある。
朱彜尊
喜雪
雲気低迷海気昏，窮陰連日暗孤村。
児童起報夜来雪，九十九峰齋到門。
鴛鴦湖櫂歌
桑邊禾黍水重囲，時有秋蟲上客衣。
三過堂東開夕照，満村黄葉一僧帰。
鴛鴦湖櫂歌
春城處處起呉歌，夾岸疎簾影翆蛾。
一葉舟穿妝閣底，傾脂河畔落花多。
鴛鴦湖櫂歌
長水風荷葉葉香，斜塘慣宿野鴛鴦。
郎舟愛向斜塘去，妾意終憐長水長。
鴛鴦湖櫂歌
三姑廟南豆葉黄，馬王塘北稲花香。
秋衣薄處宜思妾，春酒熟時須餉郎。
鴛鴦湖櫂歌
屋上鳩鳴穀雨開，横塘遊女蕩舟回。
桃花落後蠶齋浴，竹筍抽時燕便來。
雄雑詩
緑榕萬樹鷓鴣天，水市山橋阿那邊。
蜑雨蛮煙空日夜，南來車馬北來船。
雄雑詩
鎭江西下墨江流，來鴈孤亭春復秋。
十部黎園歌吹尽，行人虚説小揚州。
同沈十二詠燕
節物驚人往事非，愁看燕子又來帰。
春風無限傷心地，莫近烏衣巷口飛。
雪中得内人信
河橋風雪断帰航，遠信沈吟祇自傷。
不道比來相憶苦，虚煩錦字十三行。
伎席贈王二
松楼竹館映清暉，半酔重窺玉女扉。
我欲伝杯杯不放，落花如雪満春衣。
西湖竹枝詞
山到溥留城下平，橋従慶忌塔前横。
郎家側近水仙廟，可識水仙王姓名。
西湖竹枝詞
養魚荘説養魚肥，放鶴亭看放鶴帰。
妾在鳳凰山下住，生来不見鳳凰飛。
西湖竹枝詞
湖面蓴絲寸寸長，為郎情好作羹湯。
朝雲吹散峰頭雨，日出團團鶏子黄。
送孫処士黙還黄山
蕪城客散乱烏啼，別業黄山路不迷。
後夜相思秋色遠，月明三十二峰西。
明妃曲
上林消息断帰鴻，記抱琵琶出漢宮。
紅頬近来憔悴尽，春風更邀畫図中。
題明月蘆鴈図
吾家水閣傍江斜，風荻侵簷一丈花。
連鴈低飛渾不見，祇聴拍拍響圓沙。
送徐中允秉義假還崑山
経義紛綸致異同，誰能閉戸軟塵中。
著書終譲名山好，輸與周南太史公。
送徐中允秉義假還崑山
石湖居士范成大，金栗山人顧阿瑛。
帰向東呉無箇事，留賓題遍草堂名。
題高侍読江村図
杜甫南隣有朱老，吾将徒宅問東家。
水辺沙際閒田濶，添種鴨桃千樹花。
（魚＋霻）魚
微霜一夜柳湖東，楊柳絲黄両岸風。
不信軽舟往来疾，竹籃験取四鰓魚。
二月自古藤書屋移寓槐市斜街
莎衫桐帽海椶鞋，随分琴書占小齋。
老去逢春心倍惜，為貪花市住斜街。
題畫送徐検討衝還呉江
三高祠下水瞑曚，紅蓼花香一笛風。
驚起沙鴎定相笑，黒頭未称作漁翁。
西湖雨汎図
蓴絲蓮葉浸魚天，十里湖山思悄然。
疎雨夜眠聴亦好，莫因月黒便回船。
曹賛善鑑倫移居
家具先生有幾車，朝來移傍古城窪。
澄泥小硯題詩處，開遍荿葵一丈花。
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