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五言排律TopPage
五言排律とは、五言律詩を除く偶数句の、平仄と押韻が規定された定型を謂う。人によっては十二句以上を排律と云う人もいる。
五言排律仄起
●●○○●, ○○●●◎。起聯
○○○●●,對仗 ●●●○◎。頷聯
●●○○●,對仗 ○○●●◎。頸聯
○○○●●,對仗 ●●●○◎。腹聯
●●○○●,對仗 ○○●●◎。後聯
○○○●●, ●●●○◎。尾聯
此処に十二句の定型を示したが、必要なら二句単位で、幾らでも繋げられる。そして、最初の二句と最後の二句は、對仗の条件から外すのである。(對仗の条件から外すとは、どちらでも良いという事である)
絶句では起承転合と謂うのに、律詩では起聯・頷聯・頸聯・腹聯・後聯・尾聯と謂う。絶句では起承転合が各一句が対応しているが、排律では、作者が適宜対応させる。
律詩や排律の特徴は、對句の使用が必須な事で、他に目立った相違はない。對の詩法はとても数が多いが、此を簡便に纏めれば、次の如くである。
@ 文法構造が同じ
A 色は色で対応する
B 数は数で対応する
C 干支は干支で対応する
D 東西南北は東西南北で対応する
此処での作例は、先ず心情が有って、それに景物を当てはめる方法で作ってみよう。だから景物・事象は目前にあるわけではないし、過去に遭遇した経験が有るとは限らない。頭の中で作られた景物・事象と理解すれば良かろう。
五言排律仄起
●●○○●, ○○●●◎。起聯
○○○●●,對仗 ●●●○◎。頷聯
●●○○●,對仗 ○○●●◎。頸聯
○○○●●,對仗 ●●●○◎。腹聯
●●○○●,對仗 ○○●●◎。後聯
○○○●●, ●●●○◎。尾聯
作例
書斎の窗から小学校の通学路が見える。つい五ヶ月前は、真新しいランドセルを背負って、母親に手を引かれて通学していたが、今では友達も出来て、連れだって登下校している。
殆どを「情」で綴ってみよう。
先ずは親御さんの気持ちを詠って見よう。
小さな手に千金の笑み,双親は、子供の成長を見て、少し安心する。
●●○○●, ○○●●◎。起聯
小手千金笑, 双親得小安。 寒韵
入学式は丁度桜の咲く頃である。
桜の花の舞うように、親も子も心が迷う。だが、決心もある。
○○○●●,對仗●●●○◎。頷聯
桜花迷處所, 意気入心肝。
若い時は、勉強も、デートもする。
志のために一心に勉強し、時には、デートもする。
●●○○●,對仗 ○○●●◎。頸聯
有志閑読書, 偸時共結歡。
就職すると、組織の一員として、精一杯働く。
企業の爲に己の心を全て投げだし、近隣の誼に心する事はなかった。
○○○●●,對仗●●●○◎。腹聯
沈心千畳閣, 不慮四隣欒。
退職すると、初めて自宅で日を過ごす。
近隣に、自分を知ってくれる人もなく、七十歳になって、若い頃の事を話す。
●●○○●,對仗○○●●◎。後聯
免職無人識, 従心談弱冠。
地域社会に疎い事を嘆く事はありません。
余生を過ごす世界は広大です。自分の生様を時勢の責にするのは止めましょう。
○○○●●, ●●●○◎。尾聯
余生天地濶, 莫道事時難。
弱冠:礼記;二十を弱と云いて冠す。
従心:論語;七十而従心所欲不踰矩。
余生天地濶 寒韵
小手千金笑,双親得小安。
桜花迷處所,意気入心肝。
有志閑読書,偸時共結歡。
沈心千畳閣,不慮四隣欒。
免職無人識,従心談弱冠。
余生天地濶,莫道事時難。
注:弱冠:礼記;二十を弱と云いて冠す。
注:従心:論語;七十而従心所欲不踰矩。
五言排律仄起
●●○○●,
○○●●◎。起聯
陋屋無人繕, 寒厨一片煙。 先韵
○○○●●,對仗
●●●○◎。頷聯
鳴鶏盈尺雪, 照月数畝田。
●●○○●,對仗
○○●●◎。頸聯
企業年倶往, 良朋守節堅。
○○○●●,對仗 ●●●○◎。腹聯
傷時心迹杲, 亂髪尚依然。
●●○○●,對仗 ○○●●◎。後聯
成就豈須数, 無功少休肩。
○○○●●,
●●●○◎。尾聯
近隣和妻子, 子女共同天。
無功少休肩 先韵
陋屋無人繕,寒厨一片煙。
鳴鶏盈尺雪,照月数畝田。
企業年倶往,良朋守節堅。
傷時心迹杲,亂髪尚依然。
成就豈須数,無功少休肩。
近隣和妻子,子女共同天。
五言排律 題梅雨三首
我坐書窗下,一天雲脚低。紛紛花凋落,閣閣蛙亂啼。
篆字興何盡,蝸牛好共題。求詩貧士楽,案句壮心迷。
筆硯功名外,塵縁委老妻。
梅雨
梅熟風鈴黙,破窗昼尚昏。泥深門巷寂,傲世向誰言。
雨細詩書湿,揮毫未敢論。安拙貧活計,題句別乾坤。
午夢聞檐滴,茅齋聊避喧。
梅雨
我坐梅霖晩,君吟動我神。相逢心宛轉,麗質養憔身。
共聴句重畳,高情断俗塵。紅顔詩客痼,白髪腐儒貧。
箇裏春恨在,双棲撃壤民。
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