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43-漢俳と俳句

  第一歩から手取り足取りの実作入門講座は、葛飾吟社の漢詩詞創作入門講座に掲載しました。

 漢詩詞の知識として、定型・對法・句法・叙事法を述べた。自分の作品を作るだけなら殆どこれだけ学べば充分である。

 努力の甲斐あって程々評価に値する作品が出来たと仮定しよう。もしその中に一首でも駄作が入っていたら、どうなりますか?全体の評価を下げてしまうのです。折角の努力に傷を付けて仕舞うのです。この事を恐れるのです。

 もう一点、漢詩詞指導者としての知識が必要です。指導者は自己の爲の学習とはまた違った知識が必要なのです。指導者は己の心情に関わりなく臨機応変に作品が作れる事が要件です。

 この講は自己作品の向上を図り、更に指導者となる爲に必要な事項を解説しました。

☆ ☆
笑えない現実!

 作品は相手に読まれて、或いは聴かれて、作者の意図が理解されてこそ、作品として成り立つ!日本人が作る漢詩詞作品も、日本人だけではなく、漢民族に通じ、理解されて、初めて作品として成り立つ。
 もし、漢民族には読めない!或いは耳で聴いても解らない!のであれば、其れは作品としては成り立たない。漢民族とは、歴史上の漢民族ではなく、現代の漢民族、言い方を変えれば、現代殆どの中国人である。一概に中国人と言っても、教養の云々はあるが、新聞が読める程度の教養を前提とする。
 文法に適ってさえいれば、中国人にも読める!語彙が正しければ読める!とは限らない。日本人にも謂えることだが、中国人も普段は複雑な構文も、古典文法も、古典語彙も古典漢語も、総てを識っているわけではない。
 日本の漢詩愛好者の幾人かは、この現実を考慮せずに、作品を作る。その結果、日本国内では評価されても、中国国内では評価されないと謂われているが、実を言うと“日本人にも理解されない”“中国人にも理解されない”と言い換えるべきである。

 実を謂えば、評価されないのではなくて、“日本人には読めない”“中国人にも読めない”! ので有る。漢字を常用している中国人に読めないのは何故かというと、文字は時代とともに変遷しているにもかかわらず、旧態依然の文字を使っている!旧態依然の言葉を使っている!これでは読めなくて当然である。或いは旧態依然の発想意図では、日本人にも理解できないし、ましてや外国人が理解してくれるとは思えない。
 
此では作品として成り立たず、巧拙以前の問題である。

 漢詩詞作品は、中国人に読めて、趣旨が理解されて、初めて作品として成り立つ。此は作品の巧拙以前の、笑えない現実で、もう一点、日本の漢和辞典に書かれている説明と、中国の字典に書かれている説明と、必ずしも一致しているとは限らない。

 日本人の漢詩愛好者は、自分では巧いと思って居るだろうが、実のところは拙いのである。その拙い作品を読んで貰って意図を理解して貰うためには、余りゴテゴテ述べると、日本側の趣旨と、中国側の理解とが離れてしまう事もある。この弊害を避けるには、簡潔に述べなければならない。 
 此の愚を避けるためには、簡単な構文で、簡単な語彙で、簡潔に述べる事を忘れてはならない。

 

 詩詞を作るには先ず、詩詞なのか?詩詞でないのか?の区別をしなければ成るまい。

 詩詞には古典形式と現代散文形式と二通りがある。

この指導者講座は「古典詩詞」の爲の講座であることを前もって断っておきます。

 古典詩詞としての必要な要件は

1−定型としての「平仄と押韻」
解:この講で対象とする詩詞は、古典定型詩詞である。古典定型詩詞には、平仄の柔軟性、押韻の柔軟性は有るものの、それらをも含めた定型を謂う。
 定型に叶うことが要件となる。

2−作品内容としての「雅懐」
解:詩詞として記す内容は如何なる物事、思慮でも構わないのかというと、そうではない。物事の真理を追究するか、或いは陳述する内容でなければならない。目に映る物事、或いは思いついた物事をただ定型に倣って文字に記しても、詩詞作品とはならない。
 真理の追究或いは陳述が要件となる。

3−詩詞として相応しい「語彙」
解:定型に倣い、真理をただ漢語で綴れば、漢詩詞に成るわけではない。中国人が漢詩詞は難しいと謂うのは、日常の漢語と詩詞に用いる漢語とは隔たりがあり、同一ではないからである。
 詩詞に用いられる漢語を一般に詩語と謂い、長年の淘汰を経て詩語として成熟した語彙である。依って、その詩語としての適否を判別できない限り、漢和辞典と中国語辞典が有れば漢詩詞は作れると謂うのは誤りである。

補解:
 平仄と押韻が定型に敵っていれば詩と言えるのか?と謂う問題がある。此と同様に雅懐と語彙にも謂える。個人的な見解と断らざるを得ないが、何れの要素をも備わってこそ「詩」と謂える。

補解:
 日本語で言えることですが、言っていることはほぼ同じなのに、語彙の用い方一つで、佳作にも成れば駄作にも、駄洒落にも成ります。漢語でも同じ事が言えるのです。日本人にとって外国語である漢語語彙の、微妙な内容の違いを正確に判断することは、難しいのです。ですから大過のない方法として、詩語の使用を勧めるのです。

補解:
 一般の作品に於いて、総てが上記の要件に敵っているわけではない。遊戯としての作品も多々ある。これらの作品を詩詞の範疇に入れるのか?入れないのか?は確たる線引きの要件があるわけではない。
 依って、これらをも含めた事柄を知っている必要がある。

補解:
 この講では述べていないが、口語詩がある。口語詩は平仄や押韻の要件は、やかましくはないが、詩で有る以上、リズムは必要な要件で、古典詩詞の平仄押韻に代わる要件は存在する筈である。
 叙事内容については、それなりの真理がなければ、詩として成立しないことは当然の理である。

 

雅懐とは風流な思い、優雅な心情、を謂い李白の序文を提示してその責を免れる。

   春夜宴桃李園序   唐・李白
  夫天地者,萬物之逆旅;光陰者,百代之過客。而浮生若夢,爲歡幾何?古人秉燭夜遊,良有以也。況陽春召我以煙景,大塊假我以文章。會桃李之芳園,序天倫之樂事。群季俊秀,皆爲惠連。吾人詠歌,獨慚康樂。幽賞未已,高談轉清。開瓊筵以坐華,飛羽觴而醉月。不有佳作,何伸雅懷?如詩不成,罰依金谷酒數。

  春夜 桃李園に 宴する序
  夫れ 天地は, 萬物の逆旅にして;光陰は,百代の過客なり。而して浮生は 夢の若し,歡を爲すこと 幾何ぞ?古人  燭を 秉りて 夜に遊ぶ,良に 以 有る也。況んや  陽春 我を召くに  煙景を以てし,大塊 我に假すに  文章を以てするをや。桃李の芳園に 會し,天倫の樂事を 序す。群季の俊秀は, 皆 惠連 爲り。吾人の 詠歌は, 獨り康樂に 慚づ。幽賞  未だ已まず,高談  轉た 清し。瓊筵を 開きて  以て 華に坐し,羽觴を飛ばして  月に醉ふ。佳作 有らずんば,何ぞ 雅懷を 伸べんや?如し 詩 成らずんば,罰は 金谷の酒數に 依らん。

 次に、上手い下手の見分け方を知らなくては成らない。

 前提の条件を満たしている事を前提に、下手な順から順番を着けると・・・・・

先ず評価に値しない作品

1−剽窃の疑いのあるもの
  人様の真似ではどうにもなりません。著作権侵害に該当します。作者の人格が疑われます。 

2−絵空事を書いたもの
  詩法として故意に用いた場合は対象外です。

3−事実錯誤が甚だしいもの
  言葉の遊びならともかく、事実錯誤は読者軽視に繋がります。

 

次に詩法に適っているかの考察です

  起承転合が曖昧なもの
  起承転合は、ただはっきりさせれば良いと言うことでもないが、曖昧は良くない。創作の原点で、最低限の評価条件です。

 

その次に、下手な方から・・・・・・

1−何も言っていない。 

2−何を言っているか理解できない。

3−ハッキリと自分で言う。

4−隠れて自分で謂う。

5−自分ではあまり謂わないが、読者が代弁してくれる。

註:格律や語彙の云々は、上記五件の要件よりも、軽微な要件です。

註:謂っている事柄は個々人に依って異なりますし、物事の価値観も異なりますので、高尚な事を言えばよいというものではありません。

 漢詩詞には沢山の定型がある。そしてそれぞれに備わった特徴が有る。如何に理屈は知っていても作るには第一歩が必要である。

 此処では厄介な理屈は抜きにして、作ることだけを講じる。簡単な作り方を講じて居るのだから、疎漏のあることは当然のことである。簡単で概ね大過の無い作品の作り方を講じる事としよう。

 講座の構成は、易しい定型から難しい定型へと順追っているので、「はじめに」から順を追って創作されると効率的です。

 此処でどうやら立ち上がれる様になったら、他講の詳細を読んでもらえれば幸甚である。

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