漢詩詞創作法七題七抒 中山逍雀漢詩詞填詞詩余楹聯創作講座こちらからもお探し下さい
著者は嘗て中華詩詞壇重鎮から、漢詩詞を作る上で最初に理解しなければならない事として、日本の詩人は自己のために愁い、漢民族の詩人は社会国家の為に憂う!と指導を受けた。
何時か君が日本の文化界で、詩詞を講ずるとき、社会国家の憂いは詩(漢詩)で抒し、自己の愁いは詞(填詞)で抒し、笑いは相応しい定型で抒すべきであると指導しなさい!との示唆を受けた。
日本の漢詩文化界は、未だに模擬古典の創作に終始し、現実社会に目を開こうとはしない。私は未だ能力不足で、現実社会に目を開かせる事は出来ないが、何れ現実社会に目を啓かせる賢人が現れ、漢民族文化(国文学)重鎮の示唆を実現してくれると確信している。
七題七抒topPage
詩詞作品には、題材と趣旨と風格の3っがある。風格については、詩詞の風格美で解説されているので、此処では題材と趣旨について述べよう。
題材と趣旨を具現するには四っの要件がある。
1−題名
2−抒情
3−定型
4−詩法
漢詩詞にはこれまで述べた定型と詩法の外に、題名と抒情が有る。
述べようとする景物或いは情感の中には雑多な要素が含まれている。その雑多な要件の中から自分の意思を代弁してくれる要素を探り出す!これが「抒情」である。
暇潰しに作品を創るのなら気の向くままに対応すれば事足りるが、一旦指導する立場になったなら、あらゆる題材と叙事に対応できなければ、時間を割き足を運んでくれる受講者への任務は果たせない。
また、詩集などを創る場合は、作品の傾向を知り、作品の客観的な位置を確認すると同時に、欠点を補完する資料とすることが出来る。
作品を鑑賞する場合は、作品の題材とその扱いを客観的に知ることは、一層の理解につながる。
七題七抒の圖
座標に依って位置を確認し易くします
其一 |
其二 |
其三 |
其四 |
其五 |
其六 |
其七 |
|
閑雅逸俗 | 11 |
12 |
13 |
14 |
15 |
16 |
17 |
恋慕情絲 | 21 |
22 |
23 |
24 |
25 |
26 |
27 |
親朋純情 | 31 |
32 |
33 |
34 |
35 |
36 |
37 |
陋巷雑詠 | 41 |
42 |
43 |
44 |
45 |
46 |
47 |
寓意偶題 | 51 |
52 |
53 |
54 |
55 |
56 |
57 |
山川覧勝 | 61 |
62 |
63 |
64 |
65 |
66 |
67 |
遊戯放逸 | 71 |
72 |
73 |
74 |
75 |
76 |
77 |
作品の題材は、挙げればきりがないが概ね七種類ある。
題名 |
座標 |
閑雅逸俗 | 1 |
愛慕情絲 | 2 |
親朋純情 | 3 |
陋巷雑詠 | 4 |
寓意偶題 | 5 |
山川覧勝 |
6 |
遊戯放逸 | 7 |
題材の何処を掴むか、どう扱うかは、作例を示してその任を免れる。
抒情 |
座標 |
其一 |
1 |
其二 |
2 |
其三 |
3 |
其四 |
4 |
其五 |
5 |
其六 | 6 |
其七 | 7 |
☆例示の作品は同一の題材を、各各僅かばかり異なった扱いで叙してある。その扱いの違いを的確に判断することが肝要である。
同一題なので作品を区別するために其一、其二・・・・とした。
周游四国八十八霊地七抒 十二首二○ 註;○;門+癸;詞の量詞
其一
五言絶句
老樹花空落,優游日正長。偸閑何事好,凭欄浴春光。
七言絶句
梵城山麓隔塵埃,錫杖行尋百寳臺。偸閑念仏春四月,桜花片片勝游陪。
其二
凭欄人
風送紅塵春欲周,人仰青穹心自柔。焚香無所求,偸生恩未酬。
七言絶句
清明一路繞祗園,百里誦経爲客煩。同行二人能養老,焚香拝佛絶塵魂。
其三
七言絶句
堂前老女浴春光,清昼香烟滞法堂。未識無常先拝佛,不知句意只焚香。
七言絶句
白衣錫杖立堂前,福壽護符乞賽銭。拝廟歌聲先導下,不知章義総成禪。
其四
五言律詩
石磴春風冷,行人白道装。山桜花未發,何処自天香。
俗界塵無洗,方知尚虎狼。幽庭苔色碧,拝廟歎空嚢。
七言絶句
堂門古墨筆如龍,迷道仰天杖履從。獨領神山麓打磬,伽藍鎖路覓無蹤。
其五
解連環
麗春淋汗,白衣登磴砌,樹薫雲淡。老壮青、合掌焚香,念般若心経,真言經典。一畝清陰,聖人意、閑心温臉。楽浮世如夢,圓檀巡禮,古衢遊覧。
還尋法車道遠。愉心幽歩緩,影濃風暖。脚力疲、亦宿香臺,酒教俗情忘,敬愁吃飯。數想浮生,死尚競、墓碑高矮,創還存、香閣栄枯,甍輝衆懶。
七言絶句
白衣結隊興何狂,名刹導師説妙光。却憶高居梁下蟻,高碑寂寂無焚香。
其六
七言律詩
山門高聳逼人幽,両袖阿吽何被囚。浮世光陰人易老,時時景物萬端憂。
黄泉妙法天無語,處處祇林千歳修。諸行無常身後計,香銭合掌那須求。
七言絶句
白衣登磴花空落,黄髪仰天意自蒙。百代祥福委銭袋,千秋祕宝満禅宮。
其七
古詩
白衣凡夫春風外,錫杖念珠同一姿。不學句意説仏法,未識章義貪神詞。
商賈凋弊炊煙細,諸行無常人已知。萬唱真言追雄図,改築草庵成新祠。
争買護符求安寧,寺務繁多欲誇誰。競献香資摸銭袋,煩悩相交無可醫。
注;真言;般若心経
七言絶句
山門俯視白衣人,競買護符委此身。守否阿吽三歳福,信徒佛寺兩無因。
☆例示の作品は同一の題材を、各各僅かばかり異なった扱いで叙してある。その扱いの違いを的確に判断することが肝要である。
七題七抒の表からご自分の作品が何処に位置するのかを確認して、自分の得意不得意を客観的に知る資料とすることが出来る。
作品を鑑賞する場合も、この表によって作品の位置を探れば、より深い理解が得られる。
註;七抒は編者が気儘に作った作品なので、掴み所を換えた七首の作品をご自分で創り、ご自分のテキストと為さるようお薦めします。
お断り;
この稿を読んだ読者が編者にこういった!貴方は宗教が嫌いなんですね!
私は宗教嫌いでは有りません。四国88ヶ寺巡礼を2回も、板東33観音巡礼も結願し、次にも足を運んでいます。この作品は私の心を述べたのではなく、教材として分かり易く創ったのです。
心の内を述べるだけなら誰でも出来ます。指導者には己の心に関わりなく、臨機応変に対応できることが要件です。
元曲散曲楹聯自由漢詩笠翁対韻羊角対漢歌漢俳填詞詩余曄歌坤歌偲歌瀛歌三連五七律はこの講座にあります