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自由旋律詩或いは散軆詩

 漢詩詞創作と言うと、定型詩詞だけが言われているが、日本にも定型以外に自由旋律の詩が有るように、中國にも自由旋律の詩はある。

 中國での自由旋律には、二種類有る。白話体の自由旋律詩と文語体の自由旋律である。

 文語体による自由旋律にも二種類有って、汎用文語体に依る自由旋律詩と、専ら詩詞に用いられる語彙(詩語)を用いた自由旋律詩詞である。

 日本人が創る事を前提にすると、白話体による自由旋律詩詞は如何に流暢に中国語が出来たとしても、其れだけでは詩詞への対応は無理と言わざるを得ない。

 汎用文語体に依る自由旋律詩は、語彙の生硬と不生硬の判別が難しいので対応は無理と言わざるを得ない。然し専ら詩詞に対応した語彙を用いて、自由旋律の作品を創ることは、日本人にも対応は可能である。

 中國詩友に、日本人としての対応を聴いたところ、詩詞の旋律を基本にして構成させれば、大過のない作品が出来ることを知り得た。

 「詞」は二千余の定型がり、これを熟知すれば殆ど自由旋律と言っても過言ではない状態である。然し、如何に定型の数が多くとも、矢張り心のおもむく儘とは言い難い。依って、自由旋律の要求が出るのである。

 七言定型の平仄配列から、自由旋律の平仄を導き出す方法を説こう。七言律詩の定型を幾つも繋ぎ合わせれば、幾らでも平仄配列が出来る。

○○●●●○☆,●●○○●●☆。
●●○○○●●,○○●●●○☆。
○○●●○○●,●●○○●●☆。
●●○○○●●,○○●●●○☆。
○○●●●○○,●●○○●●☆。
●●○○○●●,○○●●●○☆。
○○●●○○●,●●○○●●☆。
●●○○○●●,○○●●●○☆。
○○●●●○○,●●○○●●☆。
●●○○○●●,○○●●●○☆。
○○●●○○●,●●○○●●☆。
●●○○○●●,○○●●●○☆。
○○●●●○○,●●○○●●☆。
●●○○○●●,○○●●●○☆。
○○●●○○●,●●○○●●☆。
●●○○○●●,○○●●●○☆。

1−
 一句七文字の構成だが、それ以上長くしたければ、二句を繋げればよい。

2−
 「,」「。」の位置は定型に従うこと。

3−
 文字の数は、末字から数えて、それ以上は削ること。

4−
 例えば、「凝明粧」を ○○●●●○☆,に当て嵌めるときは、○○●●凝明粧,として、○○●●を削り取る。 次ぎに「望彼蒼」を●●○○●●☆。に当て嵌めるには、●●○○望彼蒼。として、●●○○を削り取る。

 これで「凝明粧,望彼蒼。」の二句が出来た。この様に順次繋げて行けばよい。

5−
 押韵は、内容と連携させること。

6−
 押韵は、平韻・仄韵と交互に用いるなどの工夫をすること。

7−
 種種の詩法を用い、内容に緩急を付けること。

8−
 作品例

  自由詩・草珊瑚(せんりょう)

  松杉下,
身高僅有三寸三。
矮木影,細竹間。
不識初陽燦,無憂凍雨寒。
  草珊瑚。
豊豊小果,粒粒鮮朱。
啄朝雀,掉暮烏。
  微雨如糸花落季。
薫風換景水暖時。
櫟樹香塵下,四四嫩芽幾百,嫩芽両三枝。
  春夏秋冬両三遷。
身高已有三寸三。
粒粒丹丹。

 

  老夫之不安 中山逍雀
  欺騙老人的住宅修復欺詐(2005年7月20日)

老夫惑巧言,
倒壊未得安。
爲修繕費萬銭,
爲欺詐失萬銭。
目前黄泉,
余生幾年。
百痾不安,
嚢無銭。
老駝背,
何処由。
百痾老骨痩,
病床医生手。
遺留借款老躯枯,
棄置不顧幾歳月,
家屋無事保堅構。

 

  風

門睡犬,
雨含烟。
籬落老梅香尚浅,
枝頭嫩葉緑争鮮。
分袂垂楊岸,
澆愁落日邊。
蛙聲盈盈水,
白屋燕來歸。
何忘宿志青雲気,
一紙題詩客思微。
織女牽牛,
親朋老父。
耽吟貪腐儒,
陋巷涸轍鮒。
家雀避寒茅屋横,
凍月照梧桐。
平安処士風,
屈指待春風。

 

  黒竜江省 重陽

七夕雨傾盆
牛郎織女鵲橋會
七夕落雨
乃是激情泪
而今天大雨傾盆溌
激情當比往年倍
人造衛星星進月宮
寂寞嫦娥
被接回人間
牛女思凡情切切
日夜奮宇宙飛船

 

  書


唇焦口渇誰人暁
破萬巻
心海起波濤

輦旻轟冬迎艶陽
書望日
晟心夜視堽

 

春驚蟄
万物生
霞光里
聞歌聲
家家牛馬鳴長庚
戸戸鶏鴨閙三里

透過窗口遠望
風景明麗把我心引誘
山脚下的樹林里
鳥聲啾啾
小河流過青草地
魚兒在游
高山切開的那片藍天上
白雲在飄流
前面那個花薗口
有枝花兒探出了頭
還有幾只花胡蝶
翩舞着不敢肯飛去
遠處隠約滾雷閃電
近處有美的鳥鳴
和風洗滌了炊烟縷縷
温暖的陽光下風景幽幽
我在屋里早已坐劬
想要走出去游游

 

  秋池
   (一)
魚戯波
鶴戯荷
瑟瑟
葦作歌
魚戯水
風弄波
舟在波頭
我在舟頭
藍天飄雲
雲飄水底
舟行水里
我在雲里
我采菱角
魚戯荷花
舟在脚下
我在舟下

 

黒竜江水流千里
波浪濤濤 欲呑東升日
忽然鴎散鷺飛尽
汽笛如吼江輪馳
一綫劃開萬里土
江南江北 中蘇両国地
只恨難断無形綫
使我目及身不及
我是詩
我是詩
詩是我
詩書作干糧
跋渉
歳月
路上

 

星星
在廣寒的夜空
只是一個小點點
它的光
微弱難弁

畢竟
自己的光

 

  農村暮  編者
窮野晩秋小径。
村童伴友對斜陽。
不見歸鴉隠闇墨。
不見農夫隠闇装。
寒風晒肌痩田,
初月照歩長堤。
貧村!赤貧!
垢面!忽忙!
草陌頭,
一輪菊花“馬頭観世音”,
残香僅留草叢碑頭綱。

注:馬頭観世音;役牛馬的墓地,做馬頭之形状。

 

9−
 作品例は、句末を揃えて並べて表示した。この様にすると、文字配列の様子が、字数と位置の関係を具に把握できる。

10−
 作品例は、文語と口語が混在した形だが、これは中国人だから出来ることで、日本人では無理な相談である。然し「詩詞の語彙」を用いれば、この雰囲気に似た作品を創ることは可能である。

11−
 何れにしても、自由ほど難しい物事はない。定型が十二分に出来るように成ってから、挑むべき方法だろう。


注:◎ 平聲仄聲を問わない押韵
注:☆ 平聲の韵
注:★ 仄聲の韵
注:● 仄聲
注:○ 平聲
注:△ 基本は平聲だが仄聲でも可
注:▲ 基本は仄聲だが平聲でも可
注:● 領字
注:※ 句法に叶えば平聲仄聲を問わない

 

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