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 中國に行くと、街のあちこち、看板から寺社の門前、旧宅の玄関前、或いは個人の住居に到るまで、生活のあらゆるところに、整った形式の文字が書かれているのを眼にすることが出来る。この文字書きが所謂「楹聯」である。
 この楹聯は、漢詩詞と並んで文化的価値の高い句の形態である。然し楹聯は「詩詞」の範疇には入らないが、中華詩壇の詩集には屡々、楹聯作品が掲載されているので、その創作法を紹介する。

 漢民族社会では、楹聯は余りにも一般的で、且つ日常的な文化なので、殊にテキストなどは不必要な状況であろう。 テキストが見あたらないので、中国の詩友に教わったことを基にして、日本人でも大過なく対応できる方途を探り、此処で講ずる事とした。これは文化一般に言えることだが、書かれていることはが総てで無いことは予め断っておく。

1−
 楹聯の楹とは、丸く太い柱を謂い、楹聯とは門の兩柱に掛ける柱掛け、聯句を書いた柱掛けを謂う。二本の柱に掛けるので、二句が一組となる。一般にはこれを「聯」と謂う。

2−
 出入り口の柱と柱の間に、文字を書いた額が掛かっていることがある。この額に書かれた文字も、聯と密接な関係を持った作品の一部である。これを「横批」と謂う。

 作品としての「聯」は、現実に柱掛けに用いるばかりではなく、紙面に書かれて壁に貼られたり、詩詞壇の機関誌に作品として掲載されたりもする。本稿は、機関誌に掲載される作品を創ることを前提に講を進める。

3−
 聯に書かれた句は、教訓的な内容や賛辞が多く、上下一聯で趣旨を完結させている。

4−
 聯は庶民に深く浸透した文化で、詩詞の云々を知らぬ一般庶民が読むことをも前提にしなければ成らない。依って、四声平仄は現時点で通用することを基本とする。古典の佩文詩韵を用いることは適切ではない。

5−
 作品として、提示する場合の題の付け方は「春聯」とか「婚聯」などと、内容にあった名称とする。

6−
 聯は概ね縦書きで、通常は出だしの句を右側に、続きの句を左側に掛ける事となる。右側の句を上聯と謂い、左側の句を下聯と言う。そして横書きにする場合、上聯を左側にして、句の境を「;」で区切り、下聯を右側に書く。投稿の場合も、;で区切って書く。

7−
 上聯末字は必ず「仄」字とする。
 下聯末字は必ず「平」字とする。

8−
 上聯と下聯は必ず對仗で無ければならない。

9−
 句中字の平仄は適当に交替変化させなければ成らない。

10−
 多句長聯毎句毎の末字は適当に交替変化させなければならない。そして上下相反しなければならない。
 依って、四句で構成される上聯の末字は「平」字と成る。(1平 2仄 3平 4仄)

11−
 句中の連続する声調は三個以上連続してはならない。殊に句末の平仄は二個以上連続させてはならない。

12−
 上下両聯句の総字数、句数、毎句字数は同じで無ければならない。

13−
 相対する句の句型と詞組、短語、成語などみな相一致しなければならない。

14−
 上下聯の内容は緊密な関連が無ければ成らない。但し、同意義、や合掌では成らない。また不規則な重字では成らない。

15−
 3字句 ※○●;●※○。

16−
 4字句 ※○○●;※●●○。
 或いは ※○※●;※●※○。

17−
 5字句 ※●○○●;○○●●○。
 或いは ※○○●●;※●●○○。

18−
 6字句 ※●※○※●;○○※●※○。

19−
 7字句   ※●※○○●●;※○※●●○○。
 或いは ※○※●○○●;※●○○●●○。

20−
 8句は 3−5 或いは 5+3 或いは 4+4
 4+4 千秋青史+怎容魂去;寸草春暉+難報恩來。

21−
 9句は 5+4 或いは 3+6
 3+6 衡岳本+両間霊秀所鐘 ・・・・・;涙夢爲+百世詞章之祖 ・・・・・。

22−
 横批は概ね四文字で構成される作品が多く、上聯と下聯を繋ぐ、或いは要約などの内容が多い。平仄は詩詞の規約を援用すればよい。押韻について作品を調べてみたが、留意されているように見受けられる場合もあるが、そうでない場合もある。依って殊更に留意する必要はないと判断した。

 四字の場合の平仄は、概ね○○●●或いは、●●○○或いは、○●●○或いは、●○○●などが多い。

23−
 作品例

  對聯十一聯

萬巻詩門秘;千秋筆硯師。

一病安心處;千金落魄身。

歳歳花開落;年年人死生。

子女夫妻福;鶴髪偕老縁。

英勇功名羊腸路;朋友氷心翰墨縁。

殺戮牛豚称愛護;侵略国土弄和平。

我想青山幾層楼;君看白梅数枝紅。

幾度春風人結髪;多年交友月有情。

峯嶽雷轟輸急雨;林蹊客惑結深憂。

臨風喞喞自終夕;邀月啾啾度永宵。

立志諮功出郷里;耽詩溺酒散私財。

 

春聯

開門大吉人財旺;接福長春国運昌。

門對青山林献寶;戸臨緑水浪淘金。

春風舒柳眼;時雨潤花心。

大地春光好;農村気象新。

 

横批

四化新春

風調雨順

國泰民安

 

洞房聯

洞外桃花灼灼;房内淑女舞翩翩。

洞天福地春光好;房暖濃恩愛長。

 

再婚聯

月缺月圓圓古月;人離人合合新人。

琴断一弦籬舊綫;簫吹二度奏新歌。

 

横批

破鏡重圓

鵲橋二渡

 

嫁女聯

月白風清,今夜相思無雨;天寒地凍,明朝必定結霜。

娶親奏楽,無非使客人高興;嫁女陪奩,総是爲門婿發財。

愛恋人生人恋愛;情聯友誼友聯情。
(どちらからでも読める(回文))

 

婚横批

百年好合

幸福家庭

双喜臨門

 

注:◎ 平聲仄聲を問わない押韵
注:☆ 平聲の韵
注:★ 仄聲の韵
注:● 仄聲
注:○ 平聲
注:△ 基本は平聲だが仄聲でも可
注:▲ 基本は仄聲だが平聲でも可
注:● 領字
注:※ 句法に叶えば平聲仄聲を問わない

 

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